外資系で働いて知ったこと:やった努力は全て説明する

外資系で働いていた時、色々な驚きがあった。そのうちの一つは、プレゼンの内容と方法に関してだ。日本とアメリカは考え方において全然違う部分があり、それはプレゼン方法にも現れていた。

筆者はそれまでにやっていた日系組織でのプレゼン方法とアメリカ式が違うのは理解できたが、果たしてどうやってアメリカ式に寄せたらいいのかよくわからなかった。

そのため仕事上でプレゼンをする前に、毎回アメリカ人に指摘・修正してもらっていた。またそういう目で他のアメリカ人たちを見ていると、筆者が修正された後の方法でプレゼンしていた。むしろその方法でないと、言いたいことは正しく伝わらないようであった。伝わらないのであればプレゼンは失敗であり、最も損するのは発表者本人だ。

アメリカ式を知るまでの筆者の考え方

「色々苦労したことがあれど、最終的にうまくいっていい結果がもう出ている場合、その苦労の部分は少なめに言うかほとんど言わなくていい」と思っていた。しかしそれは誤った考えであった。

それに加えて、英語がネイティブではないから、説明が長く複雑になるのが面倒という気持ちもあった。


アメリカ式:プレゼンでは、自分がやった努力の全てを説明する

プレゼン全体の流れにおいて、成功して出た結論や成功したものだけを説明するのではなく、省くことなく一つ一つの繋がりを理解されるように説明をする必要がある。自分がとった行動の理由を正しく理解され、それら全てが合理的で自分の行動に一貫性があることを理解されるために

また、プレゼン相手は自分よりも理解が乏しいからプレゼンしているのだ。最終結果に関係ないからと所々説明を省くと、聞き手には突拍子もないように聞こえ理解できない。

<参考:試行錯誤の説明>
・試行錯誤になぜ時間がかかったのか、どういう問題点があったのか

単純に量が多かったり、どの部分でどのようなミスがあったからどこまで修正する必要があった、どの部分でどういう理由でスムーズに進まなかったのか。
それに対してどのような情報・状況があるため、自分はどう考え次の一手に選択したか


他のアメリカ人たちは自分の努力を全てしっかりアピールしていた

プレゼンの流れは、
・現在自分が手掛けているものの全体像
・今回主にプレゼンする項目
・このプレゼンをすることで相手に望むこと(報告、相談など)
・メインの項目の主目的
・目的の前提
・手段、とそれを選んだ根拠
・全ての結果(失敗・成功)、試行錯誤の過程を全て
・今後の計画、タイムスケジュール
・疑問点、相談したいこと

注釈)筆者の業界でのプレゼンの流れである。他の業界のことは不明。

こうやってみると当たり前に思えるけど、当時の筆者には”全ての結果を報告する”ということが抜けがちであった。方や、他のアメリカ人たちは、いかに自分が苦心して合理的に対処したかをツラツラツラツラ説明していた。説明は筋が通っており、説明に多少時間を要していたとしても決して退屈ではなく、全体の理解を助けるものであった。そしてそれは同時に本人自身の自己アピールでもあった

例え失敗続きであっても、なぜそこまで失敗続きになるかの説明を十分行っているため、上司からの評価も決して悪くない。むしろ試行錯誤の説明を省いたプレゼンの方が、実際は綿密にやりこんだ背景があったとしても、それを逐一説明しないと理解されない。むしろ「(試行錯誤するようなトラブルもなかったようで)楽して結果を出して時間も余ってただろうに、それしか成果をあげていないの?」と思われる可能性も高い。これは非常に損である。

だから、他のアメリカ人たちの自己アピールスタンダードにある程度近づけないと、自分だけ相対的にマイナス評価になってしまう。


まとめ

人によっては日系企業で既にやってる方法かもしれないが、筆者にとっては斬新であった。環境が変わると色んなことが新鮮だ。


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