交通事故の「第1当事者」
交通事故統計などで「第1当事者」「第2当事者」とあるけど、その違いって?なんとなくわかるのだがどうなんでしょうね?
|第1当事者とは
相対的に過失が重い当事者、過失が同等の場合には負傷が軽い方を第1当事者としている。
これは人身事故、物損事故、いずれにおいても同様である。
|交通事故統計
交通事故統計の対象となる交通事故は、道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第1号に規定する道路上において、 車両、路面電車及び列車の交通によって起こされた人の死亡又は負傷を伴う事故(以下「交通事故」という。)が対象となる。
|交通事故統計原票
交通事故統計原票とは、交通事故を担当した警察官が、交通事故毎に交通事故統計の基となる事故に関する情報を記載したもの(コンピューターシステムデーター入力している)。
これが集約されて交通事故統計・分析結果として警察庁が公表している。
|当事者順位の決定方法
警察庁の交通事故統計原票作成要綱によると交通事故の当事者順位の決定方法は、次のとおりである。
(1)原則
つまり、「過失の軽重」により、重い方が「第1当事者」、軽い方が「第2当事者」ということになる。
また、過失の程度が同程度の場合は、「負傷の程度」により、負傷の軽い方が「第1当事者」、負傷の重い方が「第2当事者」ということになる。
例えば、下図のように Aが信号無視をして、Bに衝突した場合には、信号無視をした運転者Aが第1当事者であり、青信号で進行したBが第2当事者ということになる。
,また、下図のように、信号がなく 一時停止標識のある見通しの悪い交差点における出会い頭の事故で、A車が一時停止をせずに交差点に進入し、左方から進行してきたB車に衝突したような場合には、B車の運転者にも徐行義務等の過失が認められるものの、一時停止を怠った A車の運転者の方が相対的に過失が重いと判断される。
したがって A車の運転者が第1当事者、B車の運転者が第2当事者となる。
(2)例外
上記のパターン以外に例外としていくつかのケースが規定されている。
つまり、運転者Aが、脇見運転をし電柱に衝突した場合には、常に車両等の運転者を第1当事者とし、その相手方となった「物件(電柱)」等を第2当事者とすることになる。
イ 同乗者の場合
例えば、前記の電柱に衝突した単独事故の場合に、A車に同乗者がおりこの事故で死傷した場合はA車の同乗者が第3当事者となる。
下図のように運転者Aは、Cを後部座席に同乗させて走行中、横断歩道を歩行中のBと衝突、A 、B 、C いずれも負傷した場合には、第1当事者は車の運転者A、 第2当事者が歩行者B、A車に同乗していて負傷したCが第3当事者となる。
上記のようなケースのほかにも種々の事故ケースが想定される。
○ 信号機のない横断歩道での歩行者との事故 車が信号機のない横断歩道に接近し、横断歩道の直前で停止できるような速度に減速せず、横断歩道にとび出してきた歩行者をはねたという場合は、とび出した歩行者よりも運転者の方が過失が重いと判断され、運転者が第1当事者となる。
そのほかにも事故の類型は沢山あるのでここでは省略するが考え方はほぼ前記の内容を踏襲している。
|おわりに
交通事故にはいろいろなパターンがあるが、交通事故統計などで「第1当事者」となっているのは、過失が重い人か、同程度の過失ならば人身傷害の程度が軽い人ということになります。
事故証明書では、過去においては第1当事者、第2当事者などと表記されていましたが、現在は「甲」、「乙」・・・と表記されています。