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悪質ホストクラブへの対応~自分の身を守るために

いわゆるホストクラブ等の利用客が、高額な利用料金の売掛による借金を背負い、その返済のために、売春させられるなどの事件がありましたね。

これらの行為は違法性が高い好意であることは言うまでもありません。


|禁止行為だよね

ホストクラブ等での利用料金を返済させるために、人を困惑させて売春をさせたり、性風俗などの有害な業務を紹介したりすることは、売春防止法や職業安定法で禁止されています。

いわゆる推し活が進んで、ホスト業の輩の罠に陥り、借金が膨らんでしまい、結局自分の身を犠牲にしてまで借財を返金するために金を工面するという悪循環が生じています。
よく考えて行動してください。

|取消権

ではこのような場合に、支払いを免除または取り消すことができるのか?

取消しが可能なパターンとしては、被債務者(この場合ホストを推す女性と思うが)の年齢によっても対応が変わるが
○ 未成年者の場合には「未成年者の取消し権」(民法第5条)
○ 成年の場合には「消費者契約法第4条第3項第6号の取消権」

に基づいて対応することが可能です。

|具体的内容について

それぞれについて説明します。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/other/assets/consumer_system_other_231130_0001.pdf

○ 未成年者の取消権
年齢18 歳未満の者(未成年者)が、両親などの法定代理人の同意を得ずに結んだ契約については、民法第5条に基づき、原則として取り消すことができます。

○ 消費者契約法第4条第3項第6号の取消権
消費者契約法では、
消費者の利益を守るため、消費者契約について、不当な勧誘による契約の取消し等
を規定しており、
好意の感情を不当に利用した契約、いわゆる「デート商法」については、第4条第3項第6号で定める取消権の対象となり得るのです。

つまり、
ホストクラブなどにおける飲食などの契約も本法上の消費者契約に当たり得る
ため、この法律の要件に該当するような不当な勧誘により締結した契約について、消費者が契約の相手方である事業者に対して取消しの意思表示をすることで、その契約を取り消すことができる可能性があるのです。

例えば、ホストクラブの従業員であるホストなどが、消費者(以下「客」という)に対して、飲食などの契約を勧誘する際に、

◎ 客が社会生活上の経験が乏しいことから、

① ホストに対して恋愛感情など好意の感情を抱き、かつ ② ホストも客(=自分)に対して恋愛感情など好意の感情を抱いていると誤って信じていることを知りながら、

◎ これに乗じ、飲食などの契約を締結しなければ(例えば、酒類などを注文してくれなければ)ホストと客の関係が破綻することになる旨を告げることにより、

◎ 客が困惑し、飲食などの契約の申込み等をしたときは、

本法に基づき、この契約を取り消すことができます。

消費者庁資料より

なお、仮に、
ホストが恋人間の個人的なやり取り(売掛金の立替えなど)だ
と主張している場合でも、
ホストがこの法律上の事業者に該当する場合で、この法律の要件に該当する不当な勧誘をしている場合には、その契約は取り消すことができます。

また、ホストクラブの従業員であるホストなどが、客に飲食などの契約を勧誘する際に、

 価格や内容を偽って結ばせた契約 
や、
 客が店から退去する意思を示しているにもかかわらず退去させずに結ばせた契約

なども、同様にこの法律で定める要件を満たせば、取り消すことができます。

|手続きは?

この法律は、いわゆる民事的な決まり、ルールです。
客である当事者が契約の取消しを主張する(意思表示をする)ことで、その効果が発生することになるのですが、当事者間で話合い解決することが必要です(いわゆる「和解」)。

しかし当事者間での話合いや調整がつかない場合には、弁護士などに依頼して調整をする必要が生じたり、最終的には個別具体的な事案に即して民事訴訟を提起して、司法の場で判断(調停を含む)されることになります。

|おわりに

以上申し上げたように、ホストに熱を上げる(言い方が悪くて済みません)ことは必ずしも否定しませんし、推しの一環として貢ぐことも個人の自由ですが、好意の感情を不当に利用して詐欺のような悪質な商売の餌食にするようなやり方により、自分のもて金員を稼ぎ捧げるという、いわば「人身売買事案」に近い状態を強いることは、個人の尊厳を害する行為であり許せませんよね。

いろいろな法律を駆使して対応しましょう。

<参考>

以下の相談先などにも相談してみましょう。

○ ホストクラブ等との契約などにおいて、消費者契約法による取消しが可能かどうか等の消費者トラブルに関する相談について

【相談先】地方公共団体の消費生活センター
【電話番号】188「消費者ホットライン」(全国共通の電話番号)

相談内容に応じた主な専門機関の窓口
○ 悪質ホストクラブ等の問題について、どこに相談してよいか分からない方のほか、居住先を失った場合の一時保護、その他困難な問題を抱え、福祉的支援が必要な場合の相談について
【相談先】各都道府県の婦人相談所https://www.mhlw.go.jp/content/001210952.pdf

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/index_00037.html

〇 売掛金に係る契約等の取消しの手続等各種法的トラブルに関する相談について
【相談先】日本司法支援センター(法テラス)
【電話番号】0570-078374

〇 ホストに売春等を強要されている、追われている等の犯罪被害に関する相談について
【相談先】都道府県警察
【電話番号】最寄りの警察署への通報又は警察相談専用電話(「♯9110」番)

〇 性犯罪・性暴力の被害に関する相談について
【相談先】性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター


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