ちょっとだけでも厳罰!~飲酒運転
2025年年明けとともに、飲酒運転による事故が複数件発生し、その中には運転者が現行犯逮捕されるというような事案も報道されている。
ちょっとしたおとそ気分や、新年会などでチョイのみでも飲酒運転は違反なので要注意。
自動車だけではなく自転車も昨年11月から酒酔い及び酒気帯び運転ともに、飲酒運転として検挙される厳しい罰則が適用されることになっている。
のんだら乗るな!
|飲酒運転の禁止
道路交通法では、飲酒して車両を運転する行為及び飲酒運転に係る酒類の提供、同乗、車両を提供をする行為に罰則が設けられている。
この罰則の適用は、自動車だけではなく、自転車も同様の罰則となる。
その概要は下図(警察庁資料)のとおりである。
|飲酒量と運転
飲酒することでアルコールが「酔い」などの状態を作ることになるが、道交法では一定の量以上のアルコールが身体に保有される状態で運転する行為を「酒気帯び運転」といい、飲酒し身体に保有するアルコール量にかかわらず酒に酔っている状況があれば微量であっても「酒酔い運転」となる。
すなわち酒酔い運転と酒気帯び運転の違いは身体に保有するアルコールの量の多寡ではなく、アルコールの影響により身体能力が低下し酒に酔った状態があるかどうかということである。
|純アルコール量の計算
酒に含まれるアルコールの濃さ(強さ)は千差万別。
アルコールが身体機能や精神に与える影響は、飲んだ酒の量ではなく、摂取した純アルコール量が基準となるのだ。
酒に含まれる純アルコール量(ドリンク数)を知っていれば、飲んだ酒の影響や分解時間などが推定できる。
酒瓶等のラベルには、中に含まれるアルコールの度数が書かれているが、この度数は、体積パーセント(%)を意味するもの。
アルコール度数5または5%のビールとはいうのは、100ミリリッター(mL)に、純アルコールが5mL含まれていることを意味している。
通常、純アルコール量は、グラム(g)で表され、5%のビールの中ビンまたはロング缶1本(500mL)に含まれている純アルコール量は20gである。
その計算は次のとおりである。
酒の量(mL) × 度数または% / 100 × 比重 = 純アルコール量(g)
500(mL) × 0.05 × 0.8 = 20(g)
最近は酒造メーカーでもホームページでビール類や缶チューハイの純アルコール量をグラム表記で開示しているのでその情報を利用する方法もある。
|基準飲酒量(ドリンク)
飲酒量を純アルコールに換算してわかりやすく表示する方法が多くの国で行われている。
その基準となるのが、「standard drink(基準飲酒量またはドリンク)」で、各国で定められているそうだ。
わが国では、従来、基準飲酒量として「単位」を使用してきた。
1単位はおよそ日本酒1合に相当し、約20gのアルコール量としていたのだが、基準飲酒量は飲酒の最小単位であるしていること、また、国際的にも、わが国の「単位」は突出して高いということから、近年では、
1ドリンク = 10g
という基準量が提案され使用されているという。(参照:e-ヘルスネット)
|各酒類のドリンク換算表
基準飲酒量は、飲んだ真のアルコール量を把握できるため非常に便利な数値である。
各酒類のビール換算量とドリンク数を表にまとめたものが下表。
この量は飲んだアルコールの分解時間の推定などにも役に立つ。ビール中瓶(500ml)の純アルコール換算20g、ドリンク数2ということになる。
|アルコールの作用
アルコールは気持ちをリラックスさせたり会話を増やしたりする効果があるが、一方で大量摂取すると麻酔薬のような効果をもたらし、運動機能を麻痺させたり意識障害の原因になるのだ。
また、アルコールは体のさまざまなところに作用することがしられており、少量のアルコールは循環器疾患の予防になったりHDLコレステロールを増加させたりするという。
|飲酒運転による交通事故
モータリゼーションと飲酒習慣の普及により、毎年、多くの飲酒運転による交通事故が発生しており、飲酒運転に対する罰則の強化などが行われた。
特に、1999年には東名高速道路で飲酒運転のトラックに追突された乗用車内の幼児2名が死亡する事故や、2006年に福岡市内の橋上で乗用車が飲酒運転の車に追突され海に転落し幼児3名が死亡した事故は大きな社会問題となった。
また、死亡事故率を飲酒有無別にみると、飲酒運転の死亡事故率は飲酒なしの9.1倍(2021年)と大変高く、飲酒運転による交通事故が死亡事故につながる危険性の高いことが明らかになっている。
そのため、悪質な危険運転を防止するための法的な対策として、
〇 危険運転致死傷罪制定(2001年12月、改正刑法施行)
〇 厳罰化と酒気帯び運転の基準引き下げ(2002年6月、改正道路交通法施行)
〇 飲酒運転及び助長行為の厳罰化(2007年9月、改正道路交通法施行)
〇 行政処分強化(2009年6月、改正道路交通法施行)
〇 危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪の移行・罪名変更である自動車運転致死処罰法施行(2014年5月)
などの様々な法的対策が強化されてきた。
原付以上運転者(第1当事者)の飲酒運転による年間交通死亡事故件数は、2000年の1,276件から、2021年には152件と大幅に減少してきたが、現状では事故や違反を繰り返す常習飲酒運転者が存在することも指摘されている。
また、現に年末年始などに飲酒運転による事故が多発する傾向にもある。
|おわりに
久里浜医療センターの資料を一部引用させてもらった。
同センターの調査では、飲酒運転検挙経験者の半数以上が多量飲酒者であり、アルコール依存症者の割合も一般人口に比べて非常に高いこともわかったという。
いずれにしても、飲酒しての運転は、鉄の塊である車を目をつむって走らせるようなものであり極めて危険な行為である。
そしてそれは自動車だけでなく自転車についても同様であり、飲酒量の多少に関わらず絶対にやめてほしいものである。
参考資料
e-ヘルスネット