見出し画像

児童生徒による暴力行為の現状(R5年度)

児童生徒により暴力行為が増加傾向にあるというので、文部科学省の行った調査結果の中から今回は「暴力行為」についてひもといてみた。


|暴力行為の調査対象

文部科学省は「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査について」では、暴力行為いじめの認知件数長期欠席者数高等学校における中途退学者数、自殺した児童生徒数を調査している。

このうち暴力行為については、国公私立小・中・高等学校を対象としている。

|暴力行為の発生状況

調査結果をみると、全国の小中高校で確認された暴力行為の件数が増えていることが確認できる。
2023年度の暴力行為の発生件数は108、987件、前年度比10,356件増 (14.2 %増 )と大幅に増加した。
特に小学生の増加が目立ち、全体の6割(64%)を占めている。 

学校別でみると、小学校は前年度から8,5544件増え、過去最多となった。 10年前と比べると、中学校と高校は件数が減ったが、小学校は 6 • 4倍に増えた。下表のとおりである。

出典:文部科学省調査結果報告書より

|暴力の分類

暴力行為の状況を「児童生徒間」「器物損壊」など四つに分類している調査を実施した状況は下表のとおりである。

出典:文部科学省調査結果報告書より

「生徒間暴力」が最多で80,460件、前年比10,880件増(15.6%増)となっている。
「遊びやふざけを装って、首を絞めた」というような「(児童)生徒間の暴力行為」は、全体の 7割を占めている。

なお、
「器物損壊」は「学校の備品を故意に壊した」など、
「対教師暴力」は「教師の胸ぐらをつかんだ」などの教師に対する暴力行為
「対人暴力」は「登下校中に、通行人にけがを負わせた」など
である。

|都道府県別発生件数

都道府県別(政令都市を含む)に児童生徒1,0000人あたりの発生件数をみると、新潟県が19.8件と最も多く、宮城県19.6件鳥取県19.0件であり、全体平均 8.7件を大きく上回っている。
なお、最も少なかったの愛媛県の0.5件だった。 

政令都市別では、児童生徒1,0000人あたりの発生件数で最も多かったのは、新潟市39.2件、次いで仙台市31.5件堺市24.3件となっている。

|学年別加害児童生徒数

加害児童生徒数を学年別にみたものが下図である。

出典:文部科学省調査結果報告書より

中学1年生が14,917件で最多突出している。次いで中学2年生が10,684件となっている。

|おわりに

暴力行為では小学生が大幅に増加したこと、学年別では中学1年生が最多であることなど、暴力行為の実態をかいま見たような気がする。
中学生1年生になり、生活リズムが変わったことでのストレスによる精神的な乱れが生じやすいことや、総じて子どもたちの我慢する力やストレス耐性が弱まったことなども影響しているのかもしれないですね。

いずれにしても、調査結果を踏まえつつ、教職員や家庭における適切な指導が行われることを期待したい。

参考資料:

文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査について」
https://www.mext.go.jp/content/20241031-mxt_jidou02-100002753_1_2.pdf