規格外の自転車用ヘルメットに要注意
消費者庁によると、自転車用ヘルメットの規格外のものが比較的安価に販売されているので要注意とのこと。ちょっとよみときます。
｜自転車用ヘルメットの安全性を示すマーク・規格について
自転車用ヘルメットには、自転車運転時の事故の際に頭部を保護する重要な役割があり、令和5年4月から着用が努力義務化されている。
日本においては、いまのところ自転車用ヘルメットに対する規格・基準は法令上ない。
いわゆる民間機関・団体による安全規格や安全基準はある。
外国における法令や民間の安全規格や安全基準への適合をうたう製品も輸入・販売されているのが実情である。
自転車用ヘルメットの安全性を示すマークには様々なものがあるが、代表的なものとして、SGマーク、JCF公認/推奨マーク、CEマークなどが挙げられる(下図参照)。
これらのマークが要求する安全性を満たすためには、いずれも、視界確保試験、衝撃吸収試験、あご紐等による保持システムの規格適合試験・強度試験・安定性試験、耐久性試験など、極めて厳格なテストに加え、視界確保やヘルメットの保持装置に関する基準などに適合することが必要である。
｜自転車用ヘルメットのマークに関する相談事例
自転車用ヘルメットに関してユーザーから消費生活センターなどに相談があった事例
【事例１】
「ネット通販で自転車のヘルメットを購入した。広告には海外の製品安全の認証マークのＣＥマークとＣＰＳＣマークがついているとの表示があったが、届いたものにはついていなかった。」
【事例２】
「ネット通販で安全基準認証済の自転車用ヘルメットを購入した。商品紹介には【ＣＥ安全基準認証済、自転車用ヘルメット】と表示があったが、商品到着後に表示を確認すると、ＥＮ８１２という産業用ヘルメットの規格であり、自転車ヘルメットの規格ＥＮ１０７８ではなかった。」
｜消費者庁の措置命令
消費者庁は、令和6年12月10日及び同月11日付けで、インターネット上で自転車用ヘルメットを標ぼうする商品を販売する事業者3社に対し、これら事業者が景品表示法に違反する不当表示(優良誤認表示)を行ったことから、措置命令を行った 。
不当表示の内容は、自転車用ヘルメットに係る欧州の安全規格又は安全基準に適合するものであるかのように示す表示が行われていたにもかかわらず、実際には、これらの規格又は基準に適合するものではなかったというもの。
｜購入時のポイント
自転車用ヘルメットを購入する際は、以下の点を参考に！
① 自転車用ヘルメットに関する安全性を示すマークが付されているものを選択するようにする。
② 消費者庁では、今般の措置命令及び本注意喚起と合わせて、「自転車用ヘルメットの外形上の主な注意点」を公表しているので参考に 。
その中の、主な注意点についての一つでも該当すれば、CEマークやSGマークの安全規格や安全基準を満たさないと考えられる。
③ マークごとの特性を理解しよう。
例えば、SGマークとJCF公認/推奨マークを取得している製品の多くは、各認証等をした団体のウェブサイトで公表されており、個別製品の認証取得の有無を回答してくれるので購入時の参考に。
④ 製造事業者、輸入事業者や販売元が確かな製品を購入する。
インターネット通販で購入する際は、万一不具合等が発生した時のために、国内の問合せ先が表示されている製品を選ぶ。
⑤ 自転車用ヘルメットは、自転車運転時の事故の際に頭部を保護するための製品である。
視界の確保やヘルメットの機能が保てないと思われる製品は、選ばない。
｜ヘルメットの選び方
消費者庁が行った措置命令対象となった業者のように、Webなどで、いわばいい加減な商品を販売している事業者もいるので要注意だ。
最近の自転車用ヘルメットには、様々な種類・デザインのものが販売されている。
どうせ購入するなら、万が一の自転車事故に備えて安全性の高いヘルメットを選びたい。
しかし中には自転車用ではないもの、衝撃吸収性が低いもの、簡単に脱げてしまうものがある。
自転車用ヘルメットを購入する際は、SGマーク、JCFマーク等の自転車用の安全基準マークがついたものを選ぶことが大事である。
また、ヘルメットによって内部の形状やサイズが異なるため、自分の頭に合うものでないと、脱げやすくなるので、購入する際にはなるべく試着をするようにし、自分の頭に合ったものを選ぶとよい。
｜ヘルメットは正しい着用を！
安全性の高い自転車用ヘルメットを選んで正しく着用することが大事。
誤った着用方法や、変形や劣化により性能が低下した状態で使用すると、衝撃を十分に吸収できずに頭を守れない可能性があるのだ。
消費者庁などのサイトでは
● 前から後ろにかけて水平になるようにかぶる
● あご紐の長さを調整する(指が1、2本入る程度)
● 強い衝撃を受けたヘルメットは使い続けない
落下を繰り返すと頭への衝撃が増加する。
● 保管時は直射日光や高温を避ける
● 使用推奨期間を超えたら、交換を検討する
見た目に変化がなくても、経年劣化により性能が低下する。
と注意を呼び掛けている。
事故に備えて安全性が高く自分に合ったヘルメットを選び、正しくかぶることが大切。
｜おわりに
自転車用のヘルメット着用が努力義務化されたことに伴い、いい加減な製品を正規商品と偽って販売する悪質なネット販売業者なども散見される。
一方で正規の商品でも正しく取り扱い、着用しないとその効果を十分に得ることができない。
自転車利用者の安全を確保するため、正しくヘルメットを着用し、交通ルールを守りながら、安全運転を心がけましょう。
参考資料：
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/anzen/kyougikai/r5/leaflet.ht
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/anzen/kyougikai/r5/report.html
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/anzen/kyougikai/r5/documents/r5_report_abst2.pdf