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「セルフエステ」の契約トラブルに注意

「セルフエステ」に関する相談が増えているそうです。国民生活センターの啓発文書を参考に、皆さんにも注意していただきたく記事にします。


|「セルフエステ」とは

「セルフエステ」とは、利用者自身が自分で美容機器を用いて施術を行うサロンを指します。
スタッフから機器の使用方法を指導してもらい、自身で施術を行っていきます。
家庭用機器とは違って、一般的なエステサロンで使用しているような高い美容効果の機器を使用することができるという特徴があります。

|セルフエステに関する相談状況

国民生活センターに寄せられた「セルフエステ」に関する相談は、2022年度は400件を超え、2023年度は特に「セルフホワイトニング」(歯を白くする)の相談件数が大きく増加しています。

セルフホワイトニングとは、専門店や導入サロン等に行き、設備・道具を使用し、スタッフの指示のもと、自分自身の手で施術を行うホワイトニング方法です。
一方、歯科医院が行うホワイトニングは「オフィスホワイトニング」といいい、歯科医師・歯科衛生士の手で施術で行う方法であり、歯を本来の色以上に白く導きます。

どちらがよいかは考え方次第ですが、オフィスホワイトニング方が一般的には高額になるようです。

「無料期間中に解約可能と言われたのに実際は解約できなかった」「解約するには違約金がかかる」など、インターネットやSNSの広告等をきっかけに無料体験へ出向いたところ、事前の説明と異なっていたり、解約条件についてトラブルになったといった相談が寄せられているそうです。

下図は国民生活センターの資料より転載させていただきましたが、各年度の相談件数を示したものですが、青色の部分が「セルフホワイトニング」ですが、5年間で13倍と増加しています。

また、契約当事者(相談者)の年代別にみたものは、以下のグラフの状況に記載のとおりであり、当事者の性別では多くが女性で(93%)です。

国民生活センターの資料

|相談事例

全国の消費生活センターに寄せられた相談の一例です。

➤ 【事例1】
「1か月無料、無料期間中に解約可能」と言われて契約したが、無料期間内に解約を申 し出たところ、事前に説明のなかった違約金を請求された

SNSの広告を見て、痩身のセルフエステの無料体験があることを知り、店舗に出向いた。担 当者から「1か月間は無料、無料期間中に解約もできる」と説明されたので契約した。タブレッ ト端末で同意事項にサインをしたが、契約書面はなく、電子データでも受け取っていない。 ところが、契約後に来たエステ店からのメールには「無料期間中に解約はできない」と書かれ ていた。エステ店に苦情を申し出ると別の窓口を案内され、「店舗での説明ができていなかったが、 解約すると違約金約3万円が発生する」と言われた。しかし、広告や契約時の説明では無料期間 内に解約可能とあったはずなので、違約金の請求に納得できない。 (2023 年9月受付 20 歳代 女性)

➤ 【事例2】
SNSの広告を見て無料体験に行ったところ、「絶対お得」などと契約を強く勧められ断り切れず契約してしまった


SNSを見ていたところ、歯のセルフホワイトニングに関する広告が目に入った。無料体験のため予約をして、店舗に出向いた。無料体験後に「毎月1万円で継続して契約しないか」と勧誘を受けた。「今すぐ決められないので帰宅して検討したい」と言うと、担当者より「家に帰って検討したら契約しないでしょう。
「今すぐ考えて」「絶対お得」「一緒に頑張ろう」「今日決めないと月額料金が増える」など色々と言われ、契約しなければ帰れないと思い、「契約する」と言った。
すると、最低契約期間が定められており、中途解約すると違約金が約2万円かかると言われた。

このような大切な契約条件を後から説明することに不信感を持ったが、契約すると言ってしまったのでもう断れないと思い、タブレットで契約書を見せられて署名した。

帰宅後にやはり解約したいと思い、メールでクーリング・オフ通知を出した。事業者からは「クーリング・オフ対象の取引ではない、解約するなら違約金を請求する」との返信があった。本当にクーリング・オフはできないのか。(2024 年1月受付 20 歳代 女性)

➤ 【事例3】
回数券を契約後、長期的に通えるか不安になったのでクーリング・オフを申し出たが 応じてもらえなかった

サイトで見つけた歯のセルフホワイトニングサロンに出向き、低額で試すことができる体験コ ースを申し込んだ。
薬剤を自分で歯に塗布し、機械による照射を行った。効果はあまり感じなか ったが、「何回か通うと白くなる」と説明された。また、「体験当日に 10 回分の回数券を購入する と体験コースの料金が無料になり、回数券が2回分増える」と勧誘され、回数券約3万円を購入 した。 しかし帰宅後、全回通っても効果がない可能性や、今は学生だが就職の際は当地を離れる可能性があり、全回通えない可能性があることを考え、サロンにクーリング・オフしたい旨を電話で 伝えた。
サロンからは「クーリング・オフは対象外である」と言われた。なぜクーリング・オフで きないのか、ネットで調べたがよくわからない。サロンの言うとおり、クーリング・オフ対象外 なのか。 (2024 年1月受付 20 歳代 女性)

|注意してください

➤ 「セルフエステ」は、一般にクーリング・オフ制度の対象外。
相談の中に
「クーリング・オフができない」といわれた
とありますが「セルフエステ」は法律によりクーリング・オフができないこととされています。

エステティシャンが施術を行う、いわゆるエステティックサロンの場合は、期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約であれば、特定商取引法の特定継続的役務として同法が適用され、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフができます

しかし、「セルフエステ」は、自身でエステ機器等を使用するため、一般に同法の対象外と解されており、クーリング・オフや契約書の交付義務、中途解約のルール等は適用されません
したがって事前に契約内容や解約条件等についてよく確認し、納得した上で契約することが大事です。

➤ 「無料」という言葉に注意
SNSの広告等をみて、無料体験のつもりで出向いたところ、「今考えて」「絶対お得」「今日決めないと月額料金が増える」など、消費者が強引と感じる勧誘を受けて契約してしまったケースがあります。

無料で誘って有無を言わさず「今すぐ」にと契約を迫る商法はいろいろなところにみられます。
契約の必要がない場合やもう少し検討したいと思ったらその場で契約せず、きっぱりと断りましょう。

➤ 「セルフエステ」は安価であることが多く、手軽に試しやすいですが、契約する際には契約 期間や違約金の有無など、契約内容をよく確認を

相談事例には、解約を申し出たところ違約金を請求されたケースや、回数券購 入後は解約できないと言われたケースが見受けられます。

契約をする際には、契約期 間や違約金の有無など、契約内容をよく確認しましょう。
とくに長期間の契約や回数券を購入す る場合には、継続できるかどうかや中途解約の可否も踏まえ、慎重に検討する必要があります。

|対応策

いずれにしても、契約をしてしまったが不安である、解約時にトラブルが発生した場合などには国民生活センターや住居地にある「消費生活センター」に相談してみましょう。
消費者ホットライン「188(いやや!)」は全国共通の三桁の電話番号です。

|おわりに

すこしでもきれいになりたいと思うのは当然なことでしょうね。
しかし、これまで記載したように消費契約にはいろいろなリスクがつきものです。
このリスクを少しでも少なくするためには、契約をする前に本当にその装置などが必要なのか、使用したことによって生じるリスク内容、解約条項(特に違約金など)、その他契約内容をよく読んで確認することが大切です。

また、無料体験で誘って、強引にその場で契約というのが、この業界の考え方のようです。無料で体験をすると断り切れなくなるというのが人の性かもしれません。事前によく調べていくことも大切です。

国民生活センターの啓発資料

国民生活センター資料から抜粋