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なんかすごいのでしょうが、1作目だけでは判断できない「無限病院」

<SF(209歩目)>
プロローグの「仏陀を探して火星に」の物語の今後がとても気になりました。

無限病院
韓 松 (著), 山田 和子 (翻訳)
早川書房

「209歩目」は、韓松さんによる「病院」を舞台にした不条理SF。だと思います。

韓松さんは、「中国史SF短篇集-移動迷宮 中央公論社」の「一九三八年上海の記憶 韓松」で、こんな手法があったのか!?と思い、注目していた。
初めての長編作品でボルテージあがりました。
こちらの作品は、中国史も興味深いが、日本史でインスパイアされた作品が出てくるとおもしろいです。

実は、この作品はプロローグのインドとネパールが世界戦争の結果残った二大巨頭で、インドが「仏陀」を探すために宇宙に探査船を送り込んでいる。
この最初の世界観がとても印象的にもかかわらず、広げた大風呂敷が全くたたまれずに、読後にフラストレーション溜まりました。

三部作の一冊目で、この興味深いプロローグがどんな意味になるのか?自作以降を読まないとならない。
その意味で、「三体 劉慈欣 早川書房」と同じく、次作刊行に伴い再読することになりそう。

あ~、早川書房さん。
こういうのは、「一気に刊行してほしい」とファンながら思ってしまいます。

火星で発見された「病院」の廃墟はいったいどうなるのだ!??
と思いながら、未来の中国の都市の病院へ。

ここからは不条理小説が続きます。
なんとなく、カフカと皆さん言いますが、それともちょっと違う。
極めて強引なやり方をとられる主人公も、中国的なスタンダードなのか!?それとも中国でもかなり不条理で強引なのか!?それもこの一作目だと「異様な雰囲気」のまま進む。

おそらく、「医療ネットワーク」について深く考えさせられる「何か」が隠されていると思う(!?)が、どんな展開になるのか?全く想像できませんでした。

次作をすごく期待している反面、もしも次作も「広げられた風呂敷がたたまれず、更に大きくなるとしたら!?」期待と不安が入り混じる怪作でした。

読後に、今年一番フラストレーションが溜まった作品。
次作でのリカバリーをすごく期待しています。

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