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とても映像作品に向いている「アブソルート・コールド」

<SF(212歩目)>
ミユキ市の描写が画像的。なんか映像で見たいと強く思いました。

アブソルート・コールド
結城 充考 (著)
早川書房

「212歩目」は、結城充考さんのサイバーパンクSF。

「躯体上の翼 東京創元社」以来でしたが、結城さんの作品は映像の様に脳を刺激します。
私は時代小説よりも、こちらの結城さんが大好きです。

結城さんの作品では、どの登場人物に感情移入していくのか?に迷ってしまうのですが、私は年甲斐もなくコチに惹きこまれた。
というよりも、彼女が高層民(高層ビル屋上のスラム街の住民)という設定が映像的だったからに違いない。
未来を考える上で、過去の都市にスラムが形成された。
建造物の高層ビルの周囲が。。。というのは想像つくが、上層階が。。。となると自分自身の貧困な想像力を超えた。

そしてミユキ市なる独立都市国家。
いくらなんでも、「市」がそこまで。。。と思ってもみるが、読み進むととてもリアルで「あるな。。。」と。
豊田市ではないが、市内の産業が市の住民に大きな影響を及ぼすことはままある。で、普通はその権勢により都市空間はスラム化なんかしないはず(きれいにしたい企業が、わざわざ周辺にスラムを置きたいと思わない。あるいは放置していると思えない。が、やはりこの権勢をほこる企業の負の側面からあえて清掃(排除)を怠ることもあるかなと。

なんか日本発のサイバーパンクの中で、映像化してもらいたい作品になっている。街のディテールだけでなく、SF的なガジェットも引き込んでくれる。

こんな作品をもっと出してもらいたい。
お正月から「死」という「状態」を考えさせられた作品でした。

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