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とても描写が美しい宇宙SF作品集「ナイトフライヤー」

<SF(200歩目)>
6作品ともに、かなり前の作品ですが、設定された宇宙に引き込まれます。

ナイトフライヤー
ジョージ・R・R・マーティン (著), 鈴木康士 (イラスト), 酒井昭伸 (翻訳)
早川書房

「200歩目」は、ジョージ・R・R・マーティンさんの美しい宇宙テーマSFです。

「星の光、いまは遠く」を以前に読んだ際に、ストーリー以上に舞台の世界の描写が素晴らしいと感じていました。
なんか主星まで遠い惑星(公転軌道が極めて長い惑星から見た主星)だと空に浮かぶ主星が、こんな姿で見えるのだなぁ。この描写が今も脳裏に残っている。
この鮮烈な感覚がこの短篇集(中篇集)でも味わえました。
登場する「人間」も魅力的なのですが、空間描写がとても美しい(いつも思うのですが、まさに目に見える感覚)のが、ジョージ・R・R・マーティンさんです。

「ナイトフライヤー」
NETFLIXでドラマ化されているのですが、原作の方が素晴らしい。
そして、「星の光、いまは遠く」を読んだ際に感じた宇宙の描写が素晴らしい。
言葉を費やしすぎな感じもあるのですが、この世界にいる感覚が美しい描写により引き込まれる。
なんか数ページで取り込まれる感覚がとても魅力的です。

「オーバーライド」
この作品は、「星の光、いまは遠く」を読んだ時の余韻と似た余韻が残る。
過酷な宇宙空間の中の舞台、舞台なのですがとても描き方が素晴らしい。
なんか見に行きたくなる描き方です。
そしてジョージ・R・R・マーティンさんらしく設定された社会の過酷さが突くものが印象的。
何時もながら緻密で、読み手を引き付けながら主題が心に突きささる。やはりうまい。そしてよく考えられていると思いました。

「スター・リングの彩炎をもってしても」
ラリイ・ニーヴンの「リングワールド」に胸を熱くさせる方におススメです。驚きの理論にツッコミ入れたくなるが、それ以上にこの世界観が魅力です。

「この歌を、ライアに」
異星人の宗教にハマってしまい、安楽死により魂が昇華できると考える人が増えた世界。おそらくアメリカでのカルトの集団自殺等が問題視された時代の作品。
描き方が惹きこまれる。そして、今読んでも新鮮なのは人間の愛の原理を突く作品だから。
私たちは科学が進化しても、基本的に一人で生まれ、一人で死んでいく。
この現実がカルトを求める人間の姿になる。
短篇で、しかし根源的な問題を突いてくる素晴らしい作品だと思いました。
私はこの本の中で一番心を突いた作品でした。傑作です。
この作品だけでも、ジョージ・R・R・マーティンさんの魅力が伝わります。

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