植物SFによるファーストコンタクト「セミオーシス」
<SF(69歩目)>
ファーストコンタクトって色々なパターンがあるが、植物であった場合。。。この世界観いいです。読後は周囲の植物をみる目が変わります。
セミオーシス
スー バーク (著), Yuta shimpo (イラスト), 水越 真麻 (翻訳)
早川書房
「69歩目」は、スー・バークさんに出会えた本。これは植物SFです。ファーストコンタクトもので世界観が興味深い。近所の竹林を少し違った目線で見る様になった。続く「Interference」の翻訳を待っています。
何気に手に取ったのですが、読後感は素晴らしかった。
スー・バークさんの世界観は魅力的。すっかりシリーズ化して欲しいとも感じました。
従来の主流派は、人間は環境を支配する生物であること。
故に「開拓」の物語が宇宙植民の主たるテーマになる。もちろん、この「セミオーシス」も同様ですが、この物語は「共生」が主題となっている。
現代の思想そのもので、「征服」「開拓」にかかわる「テラフォーミング」思想の先の、実現しそうな「解」を読者に考えさせることが主題です。
未知の生物とのファーストコンタクトは、まさに「Google翻訳」の様に相互コミュニケーションができることが前提になっている。
あるいは、努力の結果「相互コミュニケーション」が確立する。
でも、この「セミオーシス」の様に「ゆっくりとした相互理解」も妥当な「解」だとも感じた。
少数派(今回は人類)は、多数派(原生の生物)と平和と協調の思想で接しないといけない。しかし、過度な期待による悲劇あり。
闘いと協調、これは地球の人類史と同じであり、スペースオペラ的な躍動感が無いことがよけいにリアルに感じさせた。
また、アタリマエなのですが、種の中にはそれぞれの「個体」があるとすると、「個体」同士の考え方の相違がある。現代の世の中でも、「世代間の確執」「主義思想による確執」「民族による確執」色々あって、一つのことに対する対応は「個体」により異なる。この前提がとてもうまく描けていると感じた。
「種」としては存在するが、それぞれの「個体」の考えは異なる。
こんなところも、とてもリアルに感じた。
長編すぎで、最初の取り付きは閉口したが、最終的にはとても考えさせられる作品だと感じました。
読後は、竹林を見ると考えてしまいます。マイナーですが、考えさせられること多い。おススメです。
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