スタートアップにかかわる好著「松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記」
<SF(177歩目)>
起業って、色々あるけれども。「スタートアップ」は究極のアドレナリン噴出の物語になる。
松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記
安野 貴博 (著)
早川書房
「177歩目」は安野貴博さんのとても面白い作品。
安野貴博さんは、都知事選に立候補された人ですが、前作の「サーキット・スイッチャー」を著した現代のビジネスシーンを切り取る能力が特筆すべき人。
「サーキット・スイッチャー 早川書房」
若いころの登山って、「生きていることを実感できなかった」ので「ヒリヒリする緊張感」を味わうために行った。これと同じ「ヒリヒリする緊張感」って、「起業」、特にスタートアップで味わえる。
先鋭的な登山は「危険」との隣り合わせ。しかし、「起業」、特にスタートアップのリスクはその比ではない。
「登山」で命を失う確率はいうほど高くはない。
しかし、「スタートアップ」は死屍累々です。。。
良い子は「岩登り」「冬山」はしてはいけない!とか言われいるが、そんな比ではない。まだ確たる学問にもなっていない。事例が多くはないからね。
そんな中で、安野貴博さんの作品は、藤井太洋さんと同じく非常に魅力的に描かれている。
藤井さんは「テクノロジーを愛している」ので、必ず世界を「善」に変えてくれる魅力ある登場人物が作品に躍動感を与えている。
安野さんは、同じく「テクノロジーを愛している」のに加えて、パラメータに「人間の感情」が入っている。
この「人間の感情」って、登山でいうと突然の雪庇崩壊や、落雷、落石に近くシミュレーションしても、同じ事例は一つとして出てこない。
もって生まれた運命とも言えるが、それでは人生をかけて取り組む人が増えてこない。でも、安野さんの作品のようなものがどんどん出てくると、「いいね!」とも思う。
※しかし、あまりに出てくると「合理的に考えるとスタートアップはしない」に優秀な人がなりがち。
ここで重要なことは、主人公の松岡まどかさん(起業家)以上に重要な三戸部歩さん(サブであり、メンター)です。
霞が関や、永田町で常に言われる「失われた30年」の処方箋としての「起業を増やす」は、出現率が異様に少ない「起業家」を増やすこととか、「制度」を優遇するとか出てくるが、これでは突っ込める「起業家」は増えない。
今も「それでもリスクを取りたいやりたいことが出てきた人のみの限られた世界」で増えていかない。まるで、絶滅危惧種の「大学山岳部」が増えないのと同じですね。
しかし、三戸部歩さんみたいな人を増やしていくことは、やれば必ずできる。
ここに着目して、本当に日本に新しい産業を作っていくこと。
これが肝要だと思います。
「シリアル・アントレプレナー」なる言葉あるが、これも大切。
そして、「シリアル・メンター(ただし、頭がいい評論家ではなく、驚異の実務能力を持つ三戸部歩さんみたいな人)」を増やしていくと「いいね!」と思いました。
作中にある「AI」のあらたな可能性である「人物をAIで残す」ことは、SF作品の中では色々な作家が残りしている。
安野さんの新たな提案の「AI三戸部歩さん」って、面白い視点でとてもよかったです。
またこの作品は、ガチガチのテクノロジー型ではなく、お約束の「愛(love)」が沢山注入されています。
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