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入門書というけれど、心を揺さぶり突いてくる「冷たい方程式」

<SF(178歩目)>
特に表題作は有名です。しかし、読んだことがなかったので読んだら、やはり「良作」でした。

冷たい方程式
トム・ゴドウィン・他 (著), 伊藤 典夫 (編集, 翻訳)
早川書房

「178歩目」は1950年代のアンソロジーで、70年も前の作品。
なんとも古い「はず」なのですが、「古い」と感じるものは少なく、アメリカのSF黄金時代の「勢い」を強く感じました。

「冷たい方程式 トム・ゴドウィン」
また「巨大な困難に立ち向かい、克服していく」ことが強く出されていて、この目線は70年たってもSF作品の要諦としても古びていないと思いました。
わたしは死ぬようなことはしていないわ・・・死ぬようなことはなんにも・・・」突きました。

「信念 アイザック・アシモフ」
「絶対的な法則としか思えないものに人類が出会ったのは、つい最近のことなんだぜ~~~」。最初に真実を突いてから、物語で補強していく。
アシモフさんは、やはり若い時から凄いね!と思いました。

「みにくい妹 ジャン・ストラザー」
「シンデレラといっしょに住むようになったばかりのころ、わたしたちは彼女が未婚と聞いて驚いたものでした。けれども理由はまもなくわかりました。」
このくだりは、SF作品でも、文学作品でも突いてくる核心部。
とても興味深い作品まで昇華しているストラザーさん、「いいね!」です。

「オッディとイド アルフレッド・ベスター」
「あらゆる戦争が経済対立に根ざしているというのは周知の事実である。あるいは別のいい方をすれば、兵器によるぶつかり合いは、経済戦争のたんに最後の一戦というにすぎない。」
短篇の中に、本質を提示して、更にベスターさんの持論(物語)に傾注させる。やはり、「いいね!」です。

短い作品で、一気読みできる。
でも、読後に考えさせられることがとても多い。

こんなSF作品がもっと増えて欲しいと感じるいい感じの作品集です。

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