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AIに関心を持つ業界ならば、とても興味深いと感じると思う「AIとSF2」

<SF(218歩目)>
AIとSFの盛り合わせ尖ったから、いろいろなことを考えさせられる作品集です。

AIとSF2
日本SF作家クラブ (編集)
早川書房

「218歩目」は、日本SF作家クラブ編の「AI」「SF」にかかわるアンソロジーで分量ある。でも夢中で読み切る面白さありです。

大澤博隆さんの呼びかけで、素晴らしい作品が集まった。

それぞれ素晴らしいが、私が一番心が打たれた作品は

「竜を殺す 長谷敏司」
この作品集で一番の長編。これだけで一冊の本になる。
登場人物になってもいない如月賢治さんが藤井太洋さんの作品で悪役になる技術者、あるいはWinny事件での金子勇さんを彷彿させる。
※個人的には、「出る杭は打たれる」ではなく、「出る杭は徹底的に叩き潰す」という日本社会の象徴みたいで、如月賢治さんという生きるのが不器用な技術者に感情移入してしまった。

AIの進化がティピング・ポイントを超えた先。
こんな現実が来る予感がする。

そして、ある程度生成AIが作家を代行する時代になったとしても、「最適解」ではなく、問題を乗り越える経験をしていかないといけない人類。

このちょっと先の世界がとても興味深く描かれている。

長谷敏司さんの「あなたのための物語」「プロトコル・オブ・ヒューマニティ」に通じる、「人間」を描いた作品であり、とても心に効きました。

社会の中で、過酷な格差を作り出しそうなAI技術の光と影。
敢えて「光」ではない普通の市井の人々を切り出して物語にしている。

「SF」はとても好きなのですが、だんだんと高校生の偏差値ランキング的な最高学府の作品(テクノロジーで裏打ちされた作品群)が多くなってきた気がします。

それに対して、長谷さんが投下したこの作品は「SF」でもあり、「フィクション」の可能性を一番感じました。

「死」、そして「介護」に続き、「愛(love)」のリアルを描いていて、私はあ~、読んでよかったと感じました。

主題がAIから離れて、人間。それも成長期の若者とその両親にして、親子の葛藤。そして幼い愛の結末を受けとめないといけない若者。

とてもいいと思いました。
長谷さんの作品は、AIをテーマにしてもっと色々と描いてほしいと思った。

その他の作品では、「生前葬と予言獣 津久井五月」「意識の繭 黒石迩守」「ベニィ 塩崎ツトム」がよかった。
それぞれの作家の作品で刊行されると思う。
その際にまた記します。

時代の匂いに敏感な作品が多いですね。

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