見出し画像

なぜ あのチームはいつも成功するのか?Part④

本記事の概要

多様なメンバーが集まりチームを作るとき、「相性が良いメンバーは自然に作業が進む」と感じた経験はないでしょうか?

逆に、「どうしてもうまくかみ合わない」という経験もありますよね。

私はマネージャーとしてチームを率いる中で、「なぜかいつも成功するチームが存在している」ことに気付きました。
そして分析や勉強を進めるうちに、プロジェクトの成功には、スキルだけではなく人間の心理も密接に関連することを知りました。

この経験を踏まえ、成功するチームを構成する方法をNotesにまとめています。

Part①
人間の心理や行動など個性に着目し、「コーチング式タイプ分け診断」による4つのタイプ:「プロモーター」「コントローラー」「アナライザー」「サポーター」の特徴を紹介

Part②
メンバーのタイプを、日々の会話や行動、タスクへの取り組み方など、日常の観察で簡単に見極める方法を解説

Part➂ & ④では、成功するチームを作るための "各タイプの組み合わせ" を解説します。

メンバーのタイプを理解し、適切な組み合わせを知れば、今のチーム運営が一段とスムーズになり、パフォーマンスを最大化することに繋がります。

あなたの身近なメンバーや、自分自身の特性を思い浮かべながら読んでみてください。

きっと、「なるほど!」と腑に落ちる瞬間があるはずです。

この記事で学べること

  • メンバーの特性を理解し、適材適所でチームの力を最大化する方法を理解できる。

  • メンバー同士が自然体で協力できる、理想的な組み合わせのポイントを学ぶことができる。

  • 現在チーム内で対立や摩擦が起きている場合には、その原因を特定し、関係を改善するためのヒントを知ることができる。



1. 「コーチング式タイプ分け診断」の振り返り

「コーチング式タイプ分け診断」とは、チームメンバーや個人の行動や心理の特性に基づき、4つのタイプに分類する手法です。
Part①では、この診断に基づく「プロモーター」「コントローラー」「アナライザー」「サポーター」の4タイプについて解説しました。

詳細はPart①に記載していますが、本記事でも簡単に、行動パターンや意思決定の仕方、他者との関わり方の違いを記載します。

◆プロモーター
積極的でチャレンジ精神旺盛、他者を巻き込んで行動するのが得意で、エネルギッシュに仕事を進めます。
コントローラー
結果を意識した端的な意見を述べることや、リーダーシップを発揮してチームを引っ張ります。
アナライザー
論理的な発言をしたり、分析が得意です。また、物事を計画的に進め、慎重に意思決定を行います。
サポーター
他者への気配りが得意で、周囲をサポートし、協調性を大切にします。

今回の記事では、これらのタイプの組み合わせについて、事例を基に解説します。

2. 成功するチームの組み合わせとは?

2.1.失敗しやすい2つのパターンを避けろ

プロモーター、コントローラー、アナライザー、サポーターという4つのタイプは、それぞれ異なる強みや課題を持っています。
チームを成功に導くためには、「メンバーの特性や役割をバランスよく組み合わせる」ことが重要です。

しかし、実はバランスの良い組み合わせは多岐にわたります。
全パターンを読者の皆さんが覚えて、個別に適応することは非現実的です。

それでは、どうすれば良いのか?それは、

  • 失敗しやすい2つのパターンを覚え、それを避けること。

これが、成功するチームの組み合わせを考える、最も簡単な覚え方です。
失敗しやすいパターンとは、下記の2パターンです。

◆失敗パターンA:同じタイプ"のみ"でチームを構成する

このパターンは、チームの個性が偏り、役割や視点の多様性が失われます。例えば、全員がプロモーターのチームではアイデアは豊富でも計画性が欠け、実行に移る段階で混乱することが多いです。
一方、アナライザーのみのチームでは緻密な分析が進む一方で、行動に移せずプロジェクトが停滞するケースが目立ちます。

◆失敗パターンB:真逆のタイプ"のみ"でチームを構成する

「プロモーター」と「アナライザー」
「コントローラー」と「サポーター」の2つの組み合わせです。
このパターンでは、互いの価値観やアプローチの違いが大きすぎて、意見が対立し、チーム内の調和が崩れる可能性が高まります。目標や方針が一致しないため、進行に支障をきたすことも少なくありません。

Part➂では「失敗パターンA:同じタイプ"のみ"でチームを構成する」を紹介し、チームには多様性が重要であることを学びました。

とはいえ、何でも組み合わせれば良いというものではありません。
混ぜては危険な組み合わせも存在します。

本記事ではその代表例として「失敗パターンB:真逆のタイプ"のみ"でチームを構成する」を解説します。


2.2.失敗パターンB-①:「プロモーター」&「アナライザー」

「プロモーター」と「アナライザー」で構成されたチームは、行動力と分析力においてバランスが取れているように見えますが、互いに真逆の行動をとるため、意見の対立、互いの強みが生きないなど、まとまりのないチームになりがちです。

シチュエーション

小規模な企業(または組織)において、新製品のオンライン広告キャンペーンを展開するチームを編成。
迅速な実行を求めるプロモータータイプのリーダーAさんと、過去データを元に戦略を練るアナライザータイプのメンバーBさんが選ばれた。

初回ミーティング:進め方で意見が合わない

Aさん(プロモーター)は「まず広告を出して市場の反応を見よう!」と即実行を提案
Bさん(アナライザー)は「これまでの市場データを分析し、ターゲット層を絞り込む必要がある」と、まずは現状調査の必要性を述べる。
最終的には、リーダーであるAさん(プロモーター)が意見を押し通し、広告キャンペーンが開始。

タスクの実行:次第にチームが分断され互いに反発する

Aさん(プロモーター)の指示で複数のプラットフォームに広告が配信されるが、ターゲット層が絞られていないため、効果が分散
Bさん(アナライザー)は「広告のパフォーマンスデータを収集・分析し、次回の改善に活かすべきだ」と提案するが、Aさん(プロモーター)は「今は次のキャンペーンをどんどん打つことが重要」と無視
チーム内では次第に分断が生まれ、互いに反発する場面が頻発。

完了期限:周囲から不満が出て手戻りが発生する

数週間後、広告のCTR(クリック率)やROI(投資対効果)が低迷していることが判明。
ターゲット層が適切に設定されていないことが主な原因。
Bさん(アナライザー)は、「データを元にした計画を最初から取り入れていれば、無駄なコストを削減できた」と主張するが、
Aさん(プロモーター)は「改善のサイクルが遅すぎた」と責任の押し付け合いに発展。
プロジェクト終了時には、雰囲気の悪さが広まり、今後の他のプロジェクトへの影響も懸念する声が上がった。

【ポイント】

  • プロモーターの「即実行」とアナライザーの「現状整理やデータに基づく分析」が相反し、方向性のズレが生じやすい

  • メンバー間の意見をまとめる調整役が不在で、両者の強みが効果的に活用されない

  • 失敗した際、双方が責任を押し付け合い、チーム内の信頼関係が崩壊することもある。

実際に、お客様とベンダー側との相性の組み合わせでトラブルとなった事例もあります。気になった方は、ぜひ読んでみて下さい。


2.2.失敗パターンB-②:「コントローラー」&「サポーター」

「コントローラー」と「サポーター」のみで構成されたチームは、最初は順調に進みますが、「コントローラー」が計画や管理、タスクに集中しすぎるあまり、「サポーター」とのコミュニケーション不足に陥り、プロジェクトの失敗に繋がることがあります。

シチュエーション

小規模な企業(または組織)において、社内の業務効率化ツールを導入することになった。
プロジェクトリーダーの経験豊富なAさん(コントローラー)と、社内の複数部門と調整が必要になることを想定し、Bさん(サポーター)がメンバーとして参画した。

初回ミーティング:初期段階は順調に進む

プロジェクトは順調にスタート。
Aさん(コントローラー)の主導で、全体の計画を立て、Bさん(サポーター)は、割り振られたタスクに淡々と対応していく。お互いの役割分担も明確で、特に大きな問題は生じていない。

タスクの実行:サポーター側が不満を溜め込む

プロジェクトが進む中で、Bさん(サポーター)は次第に進行中のタスクに不安を感じ始める。
ツールの導入における細かな要件確認や、実際に利用する他部門との調整に漏れがある可能性に気づいていた。

しかし、Aさん(コントローラー)は「計画通り、順調に進んでいる」と考えており、Bさん(サポーター)が相談しても、「細かい点は無視し大丈夫」と一蹴してしまう。
Bさん(サポーター)は、Aさん(コントローラー)の全体像や計画優先の姿勢に理解を示しながらも、少しずつ疑問を持ち始める。
とはいえ、Aさん(コントローラー)に強く主張することもできず、少しずつ不満が心の中にたまっていく。

また、Bさん(サポーター)は、単調なタスクを淡々とこなす毎日が続き、気づけばモチベーションも低下
Aさん(コントローラー)は常にプロジェクトの進捗やタスクの対応に集中しており、Bさん(サポーター)からすると、雑談すら難しいように見えた。

Bさん(サポーター)は、自分の悩みや不安を話す相手がいなく、次第に孤立感を感じ、その心の疲れが目立つようになる。

完了期限:不満が大きくなり爆発する

ツールの導入が進み、プロジェクトは終盤を迎えたが、ツールを使用する部門から「このままでは使えない」というフィードバックが相次いで上がってきていた。
Bさん(サポーター)は初期段階で気づいていたが、Aさん(コントローラー)がこれまで無視してきた細かい調整不足が原因だった。

Aさん(コントローラー)は、「タスクを進める中で気付かなかったの?」とBさん(サポーター)を問いただしたことがきっかけで、Bさん(サポーター)は、ついに我慢できなくなり、感情的に言葉をぶつけてしまう。

「私は最初から指摘したじゃないですか!もっと早く調整をしていれば、こんな問題は起きなかったはずです!」

Bさん(サポーター)の声にAさん(コントローラー)は驚き慌てる一方、「でも、そんなに大きな問題だとは思っていなかった。なぜもっと主張してくれないのか。」と引き下がることなく、互いに押し殺していた不安や怒りを一気に吐き出す展開となった。

【ポイント】

  • 最初は順調に見えるが、プロジェクトが進むにつれて、サポーターが不満を溜め込む場合がある。

  • 管理やタスクなど業務に集中するコントローラーは、サポーターの不満に気付かず、また、解消するためのアクションを取らない。このため、不満が大きくなりがち。

  • 不満が大きくなりコミュニケーション不足に陥ると、プロジェクトの重要な課題も共有されず、見落とすことになる。これにより、プロジェクトの失敗やトラブルを招く。


3. まとめ

Part➂ & ④ の2回に渡り、成功するチームの組み合わせを解説しました。

いつも成功するチームを作るためには、

  • 失敗しやすい2つの組み合わせを覚え、それを避けること。

失敗しやすい2つの組み合わせとは、

  • 失敗パターンA:同じタイプ"のみ"でチームを構成する。

  • 失敗パターンB:真逆のタイプ"のみ"でチームを構成する。

という2つのパターンを避ける必要があります。

失敗パターンAのように、同じタイプのメンバーだけでは、役割分担や視点が偏り、プロジェクトが行き詰まる可能性が高くなります。

チームの成功には「多様性が不可欠」で、異なるタイプのメンバーを組み合わせ、互いの弱点を補完し合うことが必要なのです。

その一方、失敗パターンBのように、真逆のタイプのみで構成されたチームは、一見、バランスが取れているように見えますが、意見や方針の対立、互いに理解し合えずコミュニケーション不足が発生し易く、最終的には信頼関係が崩れ、プロジェクトが失敗に繋がるリスクがあります。

成功するチームを築くには、混ぜてはいけない危険な組み合わせを避けつつ、多様なタイプのメンバーでチームを構成しましょう。

いいなと思ったら応援しよう!

PMCat |プロジェクトマネジメント
いつもご覧いたただく皆さま、そしてチップをお送りいただく皆さま、本当にありがとうございます! 今後も皆さまに有益な情報を発信できるよう頑張ります!

この記事が参加している募集