あなたは毎日、どんな顔をして通勤していますか?
「自分の周りの5人を平均した姿があなた」
──(Jim Rohn の言葉から意訳)
私には、
リストラで会社を辞めた友人がいます。
彼はとても優秀なエンジニアでしたが、会社組織にうまく順応できず、本当にいつも辛そうで、長い期間にわたって休職していました。
ところが休職明けに、リストラされてしまい、会社を辞めることになったのです。
そんな彼が、あるときポツリと
「サラリーマンのときより、お金は全然ないんだけどさ、毎日が楽しくてしかたないんだよね」
会社勤めのときには見せたことのないようなキラキラと輝いた目で話し始めたのです。
自分の周りの5人の平均
私には彼のように
「毎日がとても楽しい!」
と思えるようなことが、その時はありませんでした。
というより、ただ惰性のように毎日、
・決まった時間に起きて
・決まった電車に乗って
・決まったメンバーと
・決まった内容の仕事をして
・決まった内容の話題で盛り上がる
そんな生活に慣れてしまって、「心から楽しい」という感覚がマヒしていたのです。
「自分の周りの5人を平均した姿があなた」
冒頭で引用した、ジムローンさんの言葉ですが、ほんと私は完全に、同じ職場のサラリーマンたちと同質化していたのです。
先ほどの彼は、こんなことも話していました。
「今日、久しぶりぶりに電車乗ったんだけどさ、みんなの顔が同じに見えるんだよね。無機質というかさ、俺もあんな顔してたのかな?」
確かに、朝の通勤電車の中は、何とも言えぬ淀んだ空気感と、無機質な顔が並んでいて、
でもそれが、自分には当たり前の日常で、そんなふうに自分たちの顔を見たことがなかったので、
何だか彼の言葉が妙に胸に刺さったのです。
「朱に交われば赤くなる」
朱色の染料は、どんな生地も赤く染める
人間が環境に左右されやすい生き物であることを示すことわざです。
実際、人間には
他の人の行動を自分のことのように感じとる「ミラーニューロン」という神経細胞がある ので、周りの人の行動を、鏡に映った自分であるかのように、感じとってしまうのです。
あなたの周りに、
・いつも上司の悪口をいう
・いつも会社の方針にケチをつける
・いつも仕事の愚痴をいう
・評論ばかりで責任は取らない
こんな人であふれていたら、
あなたの「ミラーニューロン」は、自分のことであるかのように感じとり、どんどん同じような考えの人になってしまうのです。。。
泥中(でいちゅう)に咲く蓮の花は美しい
新入社員のころ、上司の愚痴や、他の人たちの噂話で盛り上がる先輩たちと飲みに行くのが、あまり好きではありませんでした。
ところが今では、飲みにいくといつも、会社の愚痴や、他の人たちの噂話で盛り上がってる 自分がいる。。。
きっと今の自分は、新入社員からみたら
「あんなサラリーマンにはなりたくない」
って人に、なっていると思うのです。
仏教では「蓮の花」は象徴的な花であり、
「蓮は泥より出でて泥に染まらず」
と言われるように、汚れた泥の中でも美しく咲きます。
私たちの周りには、いろいろな悪影響をもたらす人がたくさんいます。
ところが、それに染まって慣れ過ぎてしまうと、いつの間にか自分もそうなってしまう のです。
朱に交わって染まるのではなく、泥中でも染まることなく、美しく花を咲かせる「蓮の花」のような人になりたい と、
「みんな同じ顔してるよね」
という彼の言葉を思い出すたびに、自分に言い聞かせるのでした。