白河夜船
朝から映画一本みて、いい気分だ。
白河夜船、とてもよかった。
つかみどころのないまま終わるところがよしもとばななっぽかった。
感情があるから恋が生まれるけれど、感情があるから恋はゆらぐし弾けて消えることもある。
不倫する井浦新はどうしようもなくかっこよく、されど人間としての器が小さいことは見てとれた。安藤さくらの頼るよすがもないような体躯が儚く美しく、時折妙に艶かしかった。
電話一本で呼び出され、好きでたまらないからこそ関係を崩さないように何も言わない女の部分と、それに気づいていながら無邪気な彼女を求める男の絶妙なバランスと、そうしてうまれた影の部分にそれぞれ集うものを支えきれなくなってゆく描写がわかりやすかった。
最近、恋というものをしていない。悪く思わないで欲しい。恋は降り注ぐものではなく、落ちるものだから。そういうものなのです。
この間、パフェを食べた。葡萄のパフェだ。わたしはほうじ茶のパフェが良かったけれど、何かの間違いで頼まれてしまった葡萄のパフェ。美味しかったし幸せだった。だけど、なんだかすごく帰りたくなった。こういうことばかりだ。
人が人に会いにいく時、果たして何がそうさせるのだろう。本当に心が体を動かしたようなそんな逢瀬があるというのだろうか。それは悲しみ以外の何があるというのだろうか。つまるところ、会いに行ける相手がいるということも愛なのだ。そしてすごく帰りたくなるということは月なのだ。離れていて、相手を思うことが自分にとっての恋だというならばそろそろお月見日和なのかもしれないなあ、など。
2024.0912