22.2km。2時間40分。
イヤホンを付け、外へ。
ふと思い立って、久しぶりに音楽を聞きながら走ることに
した。ゴールデンウイーク最終日。結局、走ることにした。
結局、とか言いながら、消去法ではなく、選択して。
春の風が全身を勝手に吹き抜けていく。走り去る車やバイクなど
全く気にならないほど、走ることに嬉しさを感じたのはいつぶり
だろうか。
たしかに、前に進めることへの純粋な喜びと、鳴り響く音楽。
エンドレスで聞き続ける。
久しぶりに聞いた曲は、Official髭男dismのPretender。
5分36秒。ジョグのペースだと、だいたい1kmあたりこれくらい
だから、1回聞くごとに1km、とか思いながら、しかし、
曲のリズムと、自分の歩調が合わない。ところどころで合うのが
またおもしろく、しかし、根底に悲しさの漂うこの曲は最高に心に響く。
以前にも何度も聞いたが、久しぶりに聞くと、いっそう深みが増していて、
とんでもなくひきつけられる。
いくつかの曲を再生しても良かったが、今日はこの曲とずっと一緒に
走っていたい。
腐るな、輝け。
思えば、誰に言われるわけでもなく、だいぶ腐った日々が続いた。
ゴールデンウイークに久しぶりに活動的になったことと、それを
他人に共有することで、私はまた頑張ってみようと、少しだけ思えた
のかもしれない。
自分の1つ1つに意味を見出すことも面倒。
何かをするのに結果が全て。何のためにあんなに必死になっていた、
誰も待ってはいないゴール地点に、なぜ私はあんなに必死に頑張らないと
いけないのか、頑張る意味は。走る意味は。他人が作り出した
価値観に縛られて生きていかないとだめなのか。何度考えたか
分からない。その答えを見つけたわけではない。
ただ、輝いている人を心の底からうらやましいと思えた。
ならば、自分はそれをうらやましいで終わらせるのか、
いや、そうではないだろう。
いつだってそうだった。他人がうらやましいなら、自分はその瞬間から
それを目標に出来る。目標があれば、心は、体は、勝手に付いてくる。
他人に言えないような、世間一般からはかけ離れた目標だから、
自分が頑張れる。きっと輝けると信じられる。
素直であれ。
ずいぶん鈍った体は、
1km5分37秒のペースでも、けっこう疲れた。
けれど、今日、この瞬間、この距離を、この道を走った自分は
たしかに存在している。他の誰でもない、私が走った。
迷った日々があるから今がある。悩んだ日々があるから今がある。
最後にコンビニで買った微炭酸水が、ずいぶんと刺激的だ。
また、走り出す。時に迷う。
けれど、前を向ける。
いつだってスタート地点だ。
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