ねこ

○【小説】にゃんこ(♂)とねこ(♀)の内側と外側 日常の欠片 ○【独白】ひとりごと

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○【小説】にゃんこ(♂)とねこ(♀)の内側と外側 日常の欠片 ○【独白】ひとりごと

最近の記事

なにもしないがしたいのに。

 なにもしないって難しい。 いつの間にかスマホを持ってて、いつの間にか動画を見てて。 でも脳は疲れてるから、拒絶する。  ボタンを押す。画面が暗くなる。  だけどやっぱり、何かを始めてしまう。 ほら、今も、書いてる。  自分をコントロールするって難しい。 だって自分の中にも生き物がいる。 腸内細菌がいて、免疫機能が働いて、自動的に動く心臓と、消化菅。 コントロールさせてくれないたくさんの機能。  どれかひとつがうまくいかないと、とたんにほかの機能もうまくいかなくなる。

    • 【独白】 「大丈夫」

       大丈夫、が通用するのって、庇護された立場にあるときだけなんだなと、気づいてしまった。  親、先生、自立した立場の人が、その事象をなんとかできると思える人がくれる「大丈夫」しか、心には届かない。 結局自分が何とかしないといけない事象なら、自分にそれをなんとかできるという自信みたいなものがないと、「大丈夫」って自分に言い聞かせることはできないし、それが出来ないと、先に心が押し潰される。  でも、大丈夫、と、足を踏み出せるのは、自分が動いてきた数と、経験と、幼いときに培った、

      • 【短編小説】少女の独白

         「どうにか、勝たせてあげたかったんです。」  後に語られたそれは、10を少し越えた齢の少女のものである。下瞼に溢れそうなほどの水をためて、だが必死に溢すまいと、固く震える頬に力を入れていた。あどけなさの残る表情は、それでも真剣だった。  彼女は、クラスメイトの運動靴の靴紐に、カッターで切れ目を入れていたらしい。百メートル走、強いスタートダッシュで溝を深めたそれは、持ち主をゴールに運びきれずに千切れた。持ち主は顔面をグラウンドに叩きつけ、固い砂地でやすられた。鼻の骨を折り

        • ひとりごと

           元気な私は数時間しか持たないし、家についてからの後悔のような頭のなかを襲ってくるものに太刀打ちできない。

          【独白】読書感想文

          読書感想文って、同じ文字を追ってそれぞれが頭のなかに作り出された世界について、他人の頭の中との違いを文字として具現化させるものだと思うんだけど、 ほんの世界に入り浸って、世界に入り込んで、その世界を頭んなかで体感して、 それが他人にとってどうであろうと関係ないはずなのに なんであんなに高尚なものとして扱われてんだろうね。 私の頭の中のものは私の頭のなかだけのものであって、あなたと共有したいと思っていないし、 ましてやそこに点数つけるとか、ほんと、 侮辱かな? 頭

          【独白】読書感想文

          独白

           そういえばいつも、先に死なれたらどうしよう、置いていかれたらどうしよう、ばっかりだったな。 普通なら自分が死ぬかも、って状況ときには妙に冷静で、これでも死ねないんか、てことへのほうに頭が行ってた。  この世界においていかれることが恐いんたな、わたしは。

          【短編小説】陽炎

           陽炎の中に、人の形を見る。 近づけば近づくほどに離れていくそれを、ただひたすらに追う。 手が届かないどころではない。 数百メートル先の、面影。  数年前に、恋人が死んだ。 7年付き合って、最後の2年は病室でしか会うことができなかった。  暑い、暑い日の、昼下がり。 あの日、懇意にしていた恋人の母から電話が入った。 一瞬、蝉の声が消えた。  目の開かない恋人を見ても、葬式の日を聞いても、実感がわかなかった。 確かに日々弱っていく彼女を見てきたが、最後に会った日まで、彼女

          【短編小説】陽炎

          【短編小説】ウルル

           目が覚めたら雪深い山の中にいた。 半身が雪に埋まった状態でうつ伏せになった自身の左手は1メートルはあろう雪の崖だったし、右手は木々が幹をまっすぐ上に伸ばしていた。きっと夏は葉をつけて、光の入らない深い森になる。  そこはゲレンデのようにひらけた場所だったが、エバはすぐには気づけなかった。 半身が埋まっているが、不思議と動けないほどではない重さの雪を掻き分け、上体を起こす。 緩やかな傾斜の見下ろすすぐ先には、柱とすすきをかけて屋根にしただけの建物が連なっていた。 連なってい

          【短編小説】ウルル

          【短編小説】加護の鳥

           羽があったからってね、自由に飛べる訳じゃないのよ。  人間は遺伝子操作を合法化した。 病気は減り、生涯健康寿命が増え、唯一残ったのは遺伝子のガンだけだ。 人は多様化を受け入れ、受け入れられるがままに他種族の特徴を取り入れていった。 最初は人に近いものから。 そして、人から遠い魚類まで。  人から離れれば離れるほど、それらは高位の存在になっていった。 最たるものが、魚類と、鳥類だった。  鳥籠と水族館は、高位な存在を保護する場として機能している。 そこにいれば悪意にさら

          【短編小説】加護の鳥

          【独白】被害者がいつも悪者になる

           どうして被害者が許さなければならないのか。 許さないことをなぜ責められるのか。 謝った方は加害者なのに誉められて、被害者は許さなかっただけで責められる。 被害者なのに、まるで加害者かのように扱われる。  だから私は、わたしに害を成した人間に会いたくない。 なぜわざわざこちらから謝られに赴かなければならないのか。 なぜ会わないという選択をしただけで責められるのか。 なぜ、被害者側には選択肢がないのか。 その選択は、常に被害者が苦しくなるものなのに。  私はあなたを許さない

          【独白】被害者がいつも悪者になる

          【独白】世界の仕組み

           この世界の水の量は決まっているらしい。  例えば雨が降る。 雨は雲から降る。 雲は水蒸気の塊で、多くは海から蒸発したものだ。 陸地に降った雨は、川を伝って海へ出る。 水は水として巡る。  例えば一人、人が産まれる。 乳を飲む。 乳は血液から作られる。 血液は母が飲んだ水から作られる。 母が飲んだ水は、陸地に降った水を濾過して作られる。 母に取り込まれた分の水は、川には流れず、海にもでない。 ひとの体は7割水らしい。 体重の7割。 母が50キロとして35キロ。 子供が3キ

          【独白】世界の仕組み

          【短編小説】森の村の物語

           ハイドは村一番の槍使いだった。 森に囲まれた小さな村では野性動物からの被害が耐えない。 それを捉えて村に肉として提供する、用心棒兼狩人として重宝されていた。  「ハイド、次はウサギをお願いね!」 洗濯籠を抱えた幼馴染みの女は、図々しく要望だけを口にして去っていく。 片眉を上げて返事をしたが、果たして俺は彼女の目にどれ程映っているのだろう。  村外れの畑は一周柵で覆われてはいるものの、人気がない分野性動物からの被害は大きい。 柵自体も齧られて穴が開いたり倒されていたりと、

          【短編小説】森の村の物語

          【短編小説】リコリス

           懐かしい街並みに胸が苦しくなる。ここは故郷ではない。 だがしかし、私はこの景色を知っているのだ。  サリナの手には、先程少年に渡された花がある。 街に入ってしばらく大通りを進んだ辺り、突然目の前に飛び出してきた少年は、私の胸元辺りの背丈しかなく、幼さの中に柔らかな雰囲気のある人だった。 にこっと歯を見せて笑いかけたかと思えば、一輪の花を顔の前に差し出す。 あまりの近さに思わず手をかければ、少年は満足げに離れていった。  緑色のスッと通った茎の先に、10センチほどの赤い花

          【短編小説】リコリス

          ひとりごと

           ここ数日調子が良すぎたが、物を紡ぐほどの余裕はないのか。

          ひとりごと

          【独白】人と関わることはコスパが悪い

           合っているのかといわれると、多分あっていないのだと思う。 人と人とがわかり会えることなんかない。 表面で取り繕ってやっと、人と人はぶつからずに共存できる。 ぶつかるのがいいとか、喧嘩した方が仲良くなれるとか、少年漫画に感化されたみたいな事言う人もいるけれど、たぶん時代が違う。 ぶつかったり喧嘩するのって、コスパが悪い。 めんどくさいな、ってなって、例えその喧嘩したものごとについて相手と自分の相互理解が高まったとしても、今後もその人と付き合っていくコストをさこうとは思えない。

          【独白】人と関わることはコスパが悪い

          【独白】生きるって

           楽しくしんどくなく生きていたいだけなのに、それって結構難しい。 生きるってハイコストローリターン。

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