大きなプレッツェル
みなさんは、この独特な形のパンを見たことがあるでしょうか。
これはドイツのパン。日本ではプレッツェルという名称で知られている。ドイツ語ではブレーツェルまたはブレーズンとか呼ばれていて、特にドイツ南部では日常的に食べられている。
プレッツェルと聞くと、日本で馴染みがある小さなクラッカーのようなものをイメージするかも知れない。ここでは、本来のパンとしてのプレッツェルを思い浮かべて読んでいただければ。
食べ方
ドイツ南部の人にとってのプレッツェルは、日本人にとってのおにぎりのような存在、という表現がちょうどしっくりくる。
食べるタイミングは朝食や間食。幼稚園や学校では、子どもたちがパオゼ(休憩時間)に家から持ってきたプレッツェルを食べる。彼ら/彼女らにとっては子ども時代から食べる習慣が骨の髄まで染みついている、ソウルフード。
そのままで食べるのが基本形ではあるけれど、何かを挟んで食べたり、バターやオバツタというディップを付けたりすることもよくある。
うん、やはりおにぎりっぽい存在だ。
ビールのアテ
ビアガーデンでもビールのアテとして食べられる。
ビアガーデンで売られているプレッツェルは、かなり巨大。当日に焼かれたと思われるものが提供されている。特に太い部分はモッチリしていて、ドイツパンらしく噛めば噛むほど口の中で豊かな味わいが増す。実際、長い時間モグモグできる。
だからビアガーデンでは、プレッツェルをモグモグ、ビールをゴクゴク、みんなでペチャクチャと、食べて・飲んで・喋ってというサイクルを延々と続ける。こうやって、夏の午後のカラッとした木陰の素晴らしい時間をいつまでも楽しむことができる。
でも、冷静に考えてみると。ビール(麦の飲み物)を飲みながら、パン(麦の食べ物)を食べるわけだから、栄養が少ない割になかなかお腹だけが無駄に膨れる。こうやって今日も、ドイツ人の立派なビール腹が量産され続けている。
ちなみに、この食べ方を日本文化に当てはめてみると、日本酒(米の飲み物)を飲みながらおにぎり(米の食べ物)を食べているようなもんですな。
塩
ところで。プレッツェルを食べる時には、一つ大事なコツがある。
それは、くっついている塩の扱い。プレッツェルには大きな粒状の塩がくっついている。
そんなプレッツェルを食べると、「しょっぱい」と感じる人もいるだろう。「ドイツ人の味覚は、日本人には合わないね」と考える人もいるだろう。
実はこの塩、そもそも必ずしも全てを食べることは想定していない。好みに合わせて塩を払い落として、自分にとっての適量まで減らしてから食べる。塩は軽くくっついているだけなので、ちょっと力を入れて手で払うと、すぐに取れて落とすことができる。
そんな「食べ物なのに、最初からある程度を減らす前提でつくる」という、よもやの思想に基づいてつくられているプレッツェル。僕としては予想外だったけど、まあ食べ物に対する常識が違うから、こんなこともあるわけで。
大きい方が好みに合っている
ちなみに、ドイツでも普通にパン屋さんやスーパーで売られているプレッツェルは、それほど巨大ではない。幅は20cmくらいだろうか。
僕にとっては、これら通常サイズのプレッツェルは、少々パサパサしていて堅くて食べにくいと感じる。
その理由を推測すると、一般的にドイツ人は日本人よりも唾液の分泌量が多く、またマッチョで噛む力が強いため、水分量が少なくて噛み応えのあるパンの方が好みに合っているんだと思う。しかし日本人の僕にとっては、同じものを食べるとパサパサして硬いと感じてしまう。
でも、ビアガーデンで売られているものは一般的にそれより大きくて、車のハンドルくらいの大きさだったりする。オクトーバーフェストで出てくるプレッツェルも大きい。
太くて大きいものの方がモチモチして柔らかい部分が多く、味わい深くて僕にとっては好みに合っている。特に下側の太い部分が。
みなさんも、もしもオクトーバーフェストへ行く機会があれば、大きなプレッツェルを試してみてはいかがでしょう。
by 世界の人に聞いてみた
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