君は OFFICE CUE を知っているか ~報われない愛だってある~
中島みゆきの「誕生」という楽曲がとても好きだ。
冒頭は恋の歌のようだけど、聴き終わったときには、すべての人に
「生きてくれてありがとう」と
みゆきが言ってくれている曲だと思っている。
4年前、強気で生きていた私は、ある時から涙が止まらなくなった。
何を見ても何を聞いても涙が出る。
ゴミステーションに置かれた壊れた椅子を見ただけで、急に降ってきた雨と風の音が聞こえただけで、涙があふれた。
そして気づく。
「私ってそんなに強くない」
そしたら 泣かなくなった。笑わなくなった。怒ることもなくなった。
感情がなくなってしまった。
引きこもり生活が始まった。
天井ばかり見つめていた。
家族は心配しながらも、何も言わず見守っていてくれた。
そしてまた気づく。
「強いと思っていたのは自分だけだった。」
お医者さんに言われた忘れられない言葉
「元に戻ろうとしなくていいんですよ。元の場所に戻ってしまうと更に辛くなります。もっと自分を許していいんですよ」
背負っていた余計なものを捨てて、弱い自分を認めたら、今までが嘘のように生きやすくなった。
支えてくれた家族と、何も訊かずそっとしておいてくれた友人のおかげだと感謝している。
もう一つあの頃の私の支えは
一本ずつ買いそろえていた
『水曜どうでしょう』DVD
引きこもり後半は毎日観ていた。
いつになっても完全制覇できないヨーロッパの旅を観て、
真っ白い顔でヘリから降りてくる大泉くんを観て、
大石内蔵助の衣装で、母校のアメフト部員に担がれて、時計台ビルの14階からエレベーターで降りてくる大泉くんを観て、
ボコボコにされるONちゃん(安田顕)を観て、
ずんだ餅を飲む藤村Dを観て、(正確には見えてない)
疾走するチーム40(フォーティ)を観て、
なんでそんなに増えちゃったのかわからないシェフ大泉を観て、
スーパーカブでウィリーしながら突っ込んでいく、だるまやさんを観て、
運転してるのに驚かされて、顔が伸びちゃう大泉くんを観て、
声を出して涙を流しながら、笑っていた。
そして今、推したちの存在が私の元気の源。
話は変わって
我が家には高齢の甲斐犬mixのてんちゃんがいる。
子どもたちは、てんちゃんの寿命を考え、弱い母のことを思って、
もう一つの命を家族に受け入れることをずっと勧めてきていた。
そんな時、お隣のコーギーが急に亡くなって悲しみに暮れた奥様が、もう一匹のワンちゃんがいてほんとによかったと教えてくれた。
時を同じくして、娘から保護猫の情報が送られてきた。
タイミングが良すぎた。
即決だった。
階段下収納部分をニャンコルームに改装し、準備万端整った昨年11月に、我が家にやってきた彼女たち。
保護したときから一緒にいた姉妹を離すのがかわいそうで、二人ともお迎えした。
名前は ハレとアメ。
未だに見分けがつかないくらいそっくりなツィンズ。
小さなキャットタワーも備えて、完璧と、思っていたにゃんずルームには、大きな欠陥があった。
階段との間に隙間があり、ネコちゃんたちが隠れるのに最適だったのだ。
ハレとアメはそこに入って出てこない。
チュールで誘ってもだめだ。
これはもしかしたら出られなくなっているのでは?あせって壁をはがして彼女たちを引っ張り出して、もう一回部屋を改装したのは、私。
しばらくして、部屋を開放してからいろいろ探検し始めたころ、ベッドの下から鳴き声がした。
なにやってんの?とライトを照らしてみてみると、寝転がったまま動けなくなっているハレが見えた。
え?どういうこと?
我が家は、築24年で隙間風が気になるようになってきた古い家だ。
周りは自然豊かって言ったら聞こえはいいが、どが付く田舎だ。
そんなんだから、ここ2,3年ネズミが出るようになっていたのだ。
去年も初秋に夜中にかさかさと音がするようになって、急いでネズミ捕りを仕掛けていた。そうあの Gホイホイのネズミ版だ。
それにハレがくっついちゃっていたのだ。
悲鳴に近い声で息子を呼び、何とかネズミ捕りから引きはがした。べとべとのハレを抱きながらおろおろしている私の横で、むすこは冷静にスマホで検索。
すぐに、小麦粉を振りかけて、オイルを馴染ませて、シャンプーをしなさいとグーグルが教えてくれた。
キッチンで粉まみれ、オイルまみれになり、お風呂でびっしゃびしゃになってなんとかべとべとを取ったのは、私。
病院に連れて行ったのは、私。
嫌がるハレとアメを捕まえて、一日三回目薬をさしてるのは、私。
運動不足にならないようにと思って、キャットウォークを作ったのは、私。
無添加のキャットフードを買ってきてるのは、私。
なのに
だ
ハレもアメも、私が近づくと逃げる。
ストーブの前でまったりしている彼女らの横にそっと近づいて、喉元を撫でる。
ゴロゴロいってるから今がチャンスと、だっこしようとすると、脱兎のごとく逃げる。
チュールを持っていると「はやくよこせ」とばかりに足元にすりすりするのに、食べ終わったらあっという間にこたつの中に逃げる。
なして?
こんなに献身的にあなたたちに尽くしているのに
なしてだよおぉぉ
まあ、きみたちの嫌がることばかりしてきたからなあ。
嫌われててもかわいいしなぁ
報われない愛もあるのだよ
と自分に言い聞かせている今日この頃。
とっても共感してしまう しのあや紅里さんちのねこちゃん
私がにゃんずを抱っこできるかどうかは、また今度。
したっけ
読んでいただきありがとうございます。サポートしていただけたら幸せです。たとえ出来心だったとしても…。絵の具の購入費に使わせていただきます。