
カスタマーサクセスでチャットbotを導入したら対応工数を約24%削減できた話
こんにちは。
株式会社マツリカ User Success Group Leaderの松井と申します。
先日、弊社カスタマーサクセス組織の「User Success Group」についてご紹介する記事を公開しました。
今回の記事では、弊社のカスタマーサクセス(CS)組織でチャットbotを導入した際の取り組み内容や効果についてご紹介します。
スタートアップ企業でCSに取り組まれている方や、「これからCSを強化していきたい」という方に読んでいただけますと幸いです。
プロダクトについて
弊社はBtoB SaaSのビジネスモデルで、クラウド営業支援ツールSenses(センシーズ)というSFA/CRM領域のプロダクトを開発・提供しています。
従来のSFA/CRMは「管理者」へのメリットのみが重視されがちで、実際に入力する「現場」の人からすると「入力させられている、面倒だ」と感じるケースや「どう自分たちの役に立つのか、メリットを感じづらい」と感じるケースが多く、その結局「運用に乗らない」「入力されない」という問題が起きていました。

そこで、現場の営業パーソンにとっても、自分たちの営業活動をより豊かにするために、より楽しく、やりがいを持って使えるSFA/CRM、というところにフォーカスしているのが、弊社のプロダクト「Senses(センシーズ)」です。
Sensesは非常に使いやすいSFA/CRMではあるものの、そもそもSFA/CRM自体に
・業務フローにうまく組み込まないと機能しない
・国内では導入率がまだまだ低く、運用に知見のある人材が多くない
という特性があるため、弊社ではカスタマーサクセスによる支援に力を入れています。
チャットサポートについて
創業者である飯作の原体験から、botではなく人によるリアルタイムチャットサポートをプロダクト提供初期段階から実施してきました。
ユーザー第一の開発体制の実現のため、チャットツールを導入
私はユーザベース時代、ユーザーサポートを大切にする文化に出会いました。今回、自社でサービスを開発するにあたっても、やはりユーザーとの対話を大事にしたいと思っていました。
そのために、弊社ではオンラインチャットツールを導入しています。数ある手段のなかで、なぜオンラインチャットを選んだかということにも、やはり私の過去の経験があります。
私が学生時代にまだITリテラシーがほとんどなく、右も左も分からなかった頃、Webサイト上のチャットに助けられて、自分が望んでいたパソコンを購入できたという経験があったんです。
自分1人では購入までできなかったでしょうし、これがすごくいい印象として残っていて、それ以来、将来的に自分でサービスをやるときには、チャットツールを入れたいなという思いがありました。
https://seleck.cc/687
チャットツールはIntercom(インターコム)を使っています。

当時の課題
会社のフェーズが進み、マーケティング・セールス組織を強化したことによって、Senses導入企業数/ユーザー数が増加し、それに伴いチャットからのお問い合わせ数が増加傾向にありました。
また、プロダクトの機能開発も積極的に行っていたため、新規ユーザーだけでなく既存ユーザーからのお問い合わせも多くありました。
その一方で、当時はチャットサポートに従事するメンバーの数は増えておらず、同じリソースでより多くのお問い合わせに対応しなければならない状況でした。

メンバーの採用には時間がかかるため、短期間でこの状況を解決するためには「チャット対応の生産性向上」が必要でした。
そこで、チャットツール(Intercom)のbot機能(自動応答機能)を導入することにしました。
チャットbot導入フロー
① 方針策定
弊社では、Sensesのプロダクトビジョンである「現場ファースト」を、プロダクトだけでなくカスタマーサクセス組織においても体現することを心がけています。
弊社のクラウド営業支援ツールSensesは「現場ファースト」というプロダクトビジョンのもと、「営業現場で使いやすいように」ということにこだわって作られているのですが、我々User Success Groupもこの「現場ファースト」という思想を体現する存在として、徹底的に現場(ユーザー)に向き合うことを大切にしています。
https://note.com/cs_memo/n/n682f5ee93e09
そのため、本件(チャットbotの導入)においても
顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)を損なうことなく実現できるか
が論点となりました。
チームで協議した結果、すべてのお問い合わせをbot対応するのではなく、「人でなくても回答できる内容」「回答を定型化しやすい内容」に絞ってbotを活用し、チャット対応メンバーがそれ以外のお問い合わせに集中できる環境をつくることを方針としました。
② お問い合わせ内容及びToDoの分類
これまでのお問い合わせ履歴はすべてチャットツール(Intercom)に保存されていたので、頻度の高いお問い合わせ内容のパターンを整理しました。
また、それぞれどのような回答(ToDo)が必要かについても整理を行いました。

その結果、上記の「人でなくても回答できる内容」「回答を定型化しやすい内容」に該当するお問い合わせは、当初の想像以上に多いことがわかりました。

③ botの設定
上記の分類をもとに、チャットbotの設定を行いました。
まずはお客様がチャットを開くと、「お問い合わせ内容」を選択していただくようにしました。
この段階で、「お問い合わせ内容」と「初期対応者(人 or bot)」の切り分けが実施できます。


そして、それぞれ回答内容(botで送信するメッセージ)の作成を行いました。
「〇〇の場合は〜」というように、よくあるケースや特殊なフローが生じるケースについても記載し、なるべくストレスなくチャットをご利用いただけるよう工夫しています。

これにより、「人でなくても回答できる内容」「回答を定型化しやすい内容」に該当するお問い合わせの自動化に成功しました。
(有人チャットサポートは継続しているので、「botでは解決できなさそうだ」と判断した場合は人による対応に切り替わります)
チャットbot導入の効果
① 約24%のお問い合わせ対応工数を削減

チャットbot導入により、お問い合わせ件数を24%削減(=自動化によって完結)することに成功しました。
また件数の削減だけでなく、botにより「お問い合わせ内容」の切り分けを自動化できたため、チャット対応者の「どのお問い合わせから先に回答するべきか」「どのお問い合わせには調査のためにお時間をいただくべきか」という判断の精度が向上したというメリットもありました。
bot導入の目的である「チャット対応の生産性向上」に一定寄与できたと考えています。
② チャット経由でのアップセル増加も実現
また、botの選択肢に「アカウントの追加」を含めたことにより、アップセルの増加も実現することができました。
bot導入以前も、チャット経由でのアカウント追加ご依頼はいただいていておりましたが、目に見える形で「ここからアカウント追加ができます」というご案内ができるようになったことで、これまで生じていた機会損失をカバーすることができたのではないかと考えています。
このことから、チャットbot導入はカスタマーサクセス組織のミッションである「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化」にも寄与していると考えています。
カスタマーサクセスを募集中!
マツリカは更なる成長のために、カスタマーサクセスを募集しています。
若手メンバーも活躍中ですので、ご興味のある方はぜひエントリーください。
User Success Groupメンバーのインタビュー記事も公開していますので是非ご覧ください。
CS組織について
マツリカのCS組織全体の体制はこちら
User Success Groupの業務内容はこちら
会社紹介資料
代表インタビュー
♦︎ マツリカのビジョン(実現しようとしている未来)について
♦︎ マツリカの事業について