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藤原華さんという風。

藤原華さんの記事は風のようだなあ!といつも思います。
そよ風というより、もっとはっきり吹く風です。

とくに、こちらの記事を読んだときには、台風並みの大風が、ぶわああっ!と、パソコンの画面から舞いあがるように吹きつけました。

読みながら、その風に飛ばされそうになったので、しっかり足を踏ん張りました。
そのまま、足を根っこにして、一本の木になって。
わたしは記事を読みました。
台風のような大風が、木になったわたしの枝をごうごうと鳴らします。茂る葉っぱをばさばさと揺らします。
その風を一身に受けながら、わたしは記事を読み進めます──。

「創作大賞の応募作品を、プロの編集者が添削するとこうなる」
タイトルにあるとおり、上の記事は、「実在するnoterさんの創作大賞応募作品を、編集者である華さんが添削する」という主旨で書かれたものです。

藤原華さんについてはご存知の方が多いかと思いますが、第一回創作大賞の受賞者であり、編集者です。圧倒的な文章力と爽やかなお人柄に、多くのファンを持つnoterさんでもあります。
現在は、noteコンテスト「なぜ、私は書くのか」を主催されていて(記事の募集は締め切られました)、多くのnoterさんに、自分自身をみつめる機会を提供しています。

その華さんが添削したら、対象の記事がどうかわったか。まずは、それをお伝えしちゃいますね。
こちらが、もとの記事。

組織の中で、初めてリーダーを任されることになった筆者の戸惑いと対策が記された記事です。
タイトルも書きだしも、わかりやすいし、丁寧に言葉を選んでいらっしゃる印象です。

華さんも、すごく練られたよいタイトル、よい書きだしであることをしっかり強調されたうえで──最終的には以下のように添削します。


        ↓ ↓ ↓ ↓ ↓


うわああああ……。
思わず、ちょっとのけぞりました。

やっぱり華さん、台風みたいだ……。

ごうごうと吹き荒れる大風が、枝いっぱいの「言の葉」を、ばっさばっさと吹き飛ばしていくのが目にみえるようです。
ばっさ、ばっさ、ばっさ、ばっさ……。
記事はばっさり添削されました。

けれどもちろん、ただむやみに強風で「言の葉」を落としたわけではないことは、添削をみれば明らかです。
こんなに文字を削っているのに(「リーダー」以外の言葉は残ってすらいないのに!)、筆者が伝えたい、その大切な部分はきちんと文意に残されています。

どうして、こういう添削ができるのか。
それがわかるたくさんのテクニックや考え方が、記事には記されています。
書くことの好きな方なら、読まずにおくのは惜しい金言の数々。ぜひ、華さんの記事でご覧くださいね。
(あ、念のため……読む前に、足を根っこにして木になることをお勧めします。そうすれば、「華さんかぜ」に飛ばされることがないですからね!)

……と、ついかっこ書きをつけてしまうほど、わたしは華さんの記事に、いつも強い風を感じます。
その風がどこから吹くのか。どうして吹くのか。

この記事を読ませていただいて、少しわかったことがありました。
文中で、華さんはこんなことをおっしゃっています。

「読んでもらえなかった」っていう経験はね、何よりも価値があるんですよ。

過去に、Web編集者でいらした華さんは、ご自分がたったいま会社で書きあげた記事を、帰りの電車の中で目にする、というご経験を繰り返しています。つまり、こんな状況です。

電車で、目の前の人がスマホで読んでるスマートニュースに、「自分がさっき掲載したばかりの記事」が載ってたりするのよ。

これはもうWeb編集者なら日常茶飯事。毎日起きる出来事なのよ。

そして、次の瞬間どうなるかというと、

スルーされんのよ。

親指を上にスっと動かして、その人は別の記事に行っちゃったの。
スワイプしてくれなかった、途中で読むのをやめてしまった。

へとへとになるまで働いて、必死に書きあげた記事を目前で読み飛ばされる──その氣持ちは、実際に味わったことはなくとも想像できます。

これ、毎日続いたよ。毎日だよ、毎日。もうイヤになったよ。本当に本当にイヤになった。

朝の満員電車、夜帰るときの電車の中。平日5日間ずっと。

自分が働いている意味とか、あんのかなって思ったよ。

どうせコレ書き上げてもまた無視されんだろうなって思ったよ。

正直もう書きたくなかったよ。どうせコレも読んでもらえないんだから。

自分が書いた記事を無視される経験を、何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も経験した。

いいかたをかえると……毎日毎日、華さんは否定され続けた。
何回も何回も何回も何回も何回も何回も……それを繰り返した。

ああ、そうか。
それが華さんの風のもと。

繰り返し否定される体験は、人に大きなダメージを与えます。
ですから多くの人は、それをできるだけ避けたり、たまったストレスを別の形で発散させたりします。
でも、華さんは、この否定を真っ向から受けとめた。
だって、編集者になってからの12年間、電車の中で自分のスマホは一切開かず、他人のスマホを覗き続けたというのですから!

その行為をやめれば、華さんには届かなかったかもしれない否定。
それをあえて受けとり続けた。
どうしてかというと、その否定がエネルギーになることが、華さんにはわかっていたから。
その否定を、ダメージではなくエネルギーにかえてやる、と、華さんが自身が決めたから。
すごい。
素直にすごいなあと思いました。

わたしは普段、否定するのもされるのも、あまり好まずに生活しています。
もちろん、過去の辛い経験はたからものだと思っていますし、それがなにものにもかえがたいエネルギーとなることは実感しています。
でも記事を読んでいて、華さんのは、それとは少し違うように感じました。

自分で決めて、受けとる否定。

そんな否定もあるんだ。
目から鱗が落ちるような氣がしました。

そして、ここから先は、あくまでわたしの脳内の勝手な想像ですが……そういう否定って、「昇華」させやすいのかもしれない、と思いました。

否定された経験て、「固まり」となって自分の中に溜まっていくような……そんなイメージがあります。
そういう「固まり」は、当然心身を重たくします。
それを解決する方法は、ふたとおり。

ひとつは、その「固まり」を捨てること。手放すこと。
それができれば、心身が軽くなります。

そしてもうひとつの方法は、「固まり」を捨てずに温めること。
温めると「固体」だった「固まり」は、やがて「液体」になり、もっと温め続けていくと「氣体」になります。
捨てる方法と比べて、すぐに軽くはなりませんが、自分の中の負の経験を、大きなエネルギーにかえられる。

だから、わたしは自分に余裕があるときには、辛い思いは手放すかわりに温めることにしています。
「固まり」が大きいほど、それがパワフルなエネルギーにかわることを、しみじみ感じているからです。

なかでも「昇華」のエネルギーって、本当に強力だと感じています。
「液体」の状態を経ず、「固体」がそのまま「氣体」になるときのエネルギー。
瞬間的に「固体」が「氣体」にかわるので、「ぶわっ」と風が生まれます。

華さんから吹く風って、やっぱりこれかも!

誠に勝手な解釈ですが、「華さん風」のパワー。その風の清々しさ。
それは、重たいものを一瞬で風にかえる、昇華のエネルギーによく似ていると、わたしには思えます。
「華さん風」は、「昇華の風」。
……あれ?ちょっと漢字も似てますね!

繰り返し否定されるというのは、大変な経験です。
ひとつ間違えば、立ちあがれないほどのダメージにもなりかねない。
だから、「よいこはまねしないでね」とつい前置きしますが、それでも、そういう否定の使い方もあるのだなあ!と、心に刻みました。

そして、この記事を書いたら、いままで氣がつかなかった心の奥の「固まり」のひとつがゆっくり溶け始めたような……そんな氣持ちになりました。
それは、否定することをも肯定してみたくなった、わたしの心の流れなのかもしれません。

ちょっと「肯定したがり」のわたし。
否定するのが悪いことではないはずですが、できることならなんでも肯定してみたい。
もちろん、無理にでなく。自然に心の揺れるままに。

さて、最後にもうひとつ、記事をご紹介させてください。
ケータローさんのご投稿、「時空を超える遺伝子」です。

読んでいただくとわかりますが、前述の華さん主催のコンテスト「なぜ、私は書くのか」のご縁から生まれたともいえる──だから「華さん風」が運んでくれたともいえる、素敵な記事です。


ハンムラビ法典を、みなさんご存知ですよね。
「目には目を。歯には歯を。」
復讐法などと呼ばれ、残忍なイメージのある、あの法典です。
もちろんわたしも、全くよいイメージを持っていませんでしたが、記事を読んで……これまた目から鱗!
以下、引用です。

やられたらやり返せ!

「そういう誤解」で、「昔の社会って、超怖ーよ!」と皆で笑いました。

しかし、
「ハンムラビの想い」は違いました。

強者が弱者を虐げないように、
正義が孤児と寡婦とに授けられるように。
(この法典を定める)

読んで驚きました。

「強者が弱者に何をしても良いような時代」に、
「弱者を守る為につくられた法典」

だったというのです。
復讐ではなく、平等や公正を謳った法律だった!

ずっと知りませんでした。
知らずに否定し続けてきました。
知ることができてよかった。
肯定できて……本当によかった!

ひとつ、肯定できることが増えるたびに、わたしの心は軽くなります。
華さん。
ケータローさん。
素敵なご縁に感謝します。




こちらの記事に、数週に渡り10個のコングラボードが届きました。
記事にご協力くださったみなさま、スキをくださったみなさま、本当にありがとうございました。

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