連載小説|恋するシカク 第2話『トン先輩』
作:元樹伸
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第2話 トン先輩
五月になって、絵画コンクールの締め切りと体育祭が近づいていた。今年こそ賞が獲れますように、と入選を祈願して選んだ幸運のヴィーナス像を描いている最中、寺山に声をかけられた。
「トン、コンクールの準備は順調か?」
「順調といえば順調だし、不調といえば不調かな」
僕の名前は「琢」と書いてタクと読む。だけど寺山と出会った当初、彼は名簿に書かれた「琢」という漢字を「豚」と勘違いしてトンと読んだ。それを思いき