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オススメ漫画「花四段といっしょ」とニューロダイバーシティ/「バクちゃん」再版希望について
こんばんは、烏丸百九です。
YouTubeに手一杯でしばらくこちらを更新しておらず、申し訳ありませんでした。
本日は久々に、おすすめの書籍の紹介をしたいと思います。
増村十七先生による将棋漫画「花四段といっしょ」、および同作者様のSF漫画「バクちゃん」です。
「花四段といっしょ」は元からウェブで読んでいて、個人的にファンだったのですが、私がTwitterで何故かご本人からフォローされるという現象があり、たぶん何かの間違い(誤フォロー)だとは思いますが、非常に嬉しかったので、全巻買ってしまいました。
![](https://assets.st-note.com/img/1724263753399-Kk4Txnnf8p.png?width=1200)
増村先生、もしこのnoteをお読みになっても、お願いですからフォローを外さないでください。私はただの善良なあなたのファンなのです!! せめてミュートの刑でお願いいたします。
(以下では作品の内容にある程度触れていますので、未読の方はネタバレにご注意ください)
ニューロマイノリティ「っぽい」主人公としての花四段
「ファン」と言っても私は別段将棋に詳しいわけではなく、ルールすら把握していないのですが、その点はご安心を。この漫画に将棋のルール把握が必要な場面はほとんどないですし、また4巻読んでも将棋のルールがわかるようになったりしません。当然、戦術指南などもありません。
「将棋の”脳内盤面”の話」21
— 花四段といっしょ🖋第4巻発売中 (@hanayodan) May 18, 2022
明日で第8話ラスト! 一挙2ページをお届け! pic.twitter.com/tp3FJYcrZg
「花四段といっしょ」は、将棋というより将棋”棋士”の生き方に注目したコメディ&ヒューマン・ドラマであり、最初はギャグマンガのような軽いノリに気圧されるものの、次第にキャラクターが把握できるようになってくると、棋士同士の人間関係にのめりこみ、ついにはエモーショナルにさえ感じるようになります。「具体的に何やってるのかよくわからない人たちに感動する」という稀有なスポーツ漫画です。
そんな不思議なお話しの中心であり、主人公が、花四段こと花つみれ(男性)です。
#花四段といっしょ pic.twitter.com/etiNGxKoAB
— 花四段といっしょ🖋第4巻発売中 (@hanayodan) February 27, 2024
朝日ソノラマ出版故かは不明ですが、伊藤潤二の「死びとの恋わずらい」にそのまま出演できそうな陰のある美男子にもかかわらず、世間的な”棋士”のイメージに近い所謂”変人”で、対局中に好きな食べ物のこととか考えていたりします。
ただ増村先生は、花四段の”変人”ぶりを面白おかしく描きつつ、実際にいるニューロマイノリティの人たちを意識したかのような描写も行っています。
神経の多様性・脳の多様性のこと
「neurological(神経学的な)」と「diversity(多様性)」を組み合わせた言葉で、「神経学的多様性」や「脳の多様性」と訳されます。先天的な発達障害や後天性障害である統合失調症など、脳の発達の偏りや神経伝達に由来して発生する様々な特性の違いを、「機能的な多様性と捉え相互に尊重しよう」という概念です。
ニューロダイバーシティの歴史は古く、1990年代初頭に発足した当事者グループである「Autism Network International(国際自閉症ネットワーク)」のインターネット上のニュースレターから始まったと言われています。
他の表現として、「ニューロ・マイノリティ(神経学的少数派)」などの概念もありますが、いずれにおいても、「ニューロダイバース」な人々はその症状を自然に起こる神経発達のバリエーションと捉え、社会的カテゴリとして受容され、尊重されるべきというスタンスを取ります。 当事者による権利運動としては、「障害の社会モデル」を採用しており、従来型ダイバーシティの類型である人種、性別・ジェンダー、障害の有無などと同様に、社会的マイノリティとしてカテゴリされ、包摂的な支援サービス、合理的配慮、コミュニケーション補助のテクノロジー、職業訓練、自立支援等の提供を支持しています。
集中力が高まると突飛な空想をしてしまう(専門用語では「ファンタジー」と言ったりします)のは別段”おかしな”ことではなく、他にも極端な拘りの強さや落ち着きのなさなど、実際のADHD当事者に着想を得たのでは? と思しき描写が多数出てきます。
重要な点なので強調しておきますが、作品中で明確に「花四段はADHDである」と明言しているわけではないので、これは「そういう見方も出来るよね」という「解釈」に留めるべきであり、断定的に決めつけるのは危険なのでやめるべきだと思います。
しかしながら、いちおうADHD当事者の端くれとしては、「花四段」のニューロマイノリティ(的な)描写には、蔑んだり偏見を助長するようなニュアンスは全くなく、かといって花四段の棋才の「理由」というわけでもなくて、ただそういう「スタイル」であると描かれているのが、とても好ましく感じられました。
少数派に対するリアルで愛情深い視点
また、将棋に興味のない方でも、花四段以外にも様々な属性のマイノリティをさりげなく登場させている作品なので、どのようなキャラクターに注目/感情移入するかは、自由度が高いというか、多くの面が読者側の解釈に委ねられており、作品としての懐の広さが感じられます。
特に花四段の妹分である踊朝顔については、4巻収録の傑作エピソード(ネタバレ注意)がTwitterなどで大バズしていたので目にした方も多いかもしれません。男性主人公のコメディ作品で、ここまで大見得を切ってフェミニズムをやっている作品も珍しいんじゃないでしょうか。
扱うテーマが「将棋」とくれば避けては通れない問題ではありますし、そもそもこういう話が問題にならない日本社会がおかしいのですが……。
ところで、ここまで「花四段といっしょ」の話ばかりしていますが、増村十七先生には他にも傑作があります。最近kindle unlimitedに追加された、全二巻の作品「バクちゃん」です。
「移民+SF」をテーマとしたこの作品には、正直に言って語りたいことが多すぎるので、別途YouTube配信などでご紹介したいと思っております。配信次第、このnoteに追記する予定です。
追記:YouTubeにて「バクちゃん」を紹介する配信をしました! こちらも是非ご覧下さい。
「花四段といっしょ」にも「バクちゃん」にも共通する点として、増村先生の少数派に対する現実的で、かつ愛情深い視点があると思います。
特に自分と違う属性の社会的マイノリティを描く作品において、作者が少数派を理解し、共感できる才能を持っていることは、半ば必須の能力といってもいいかもしれません。
しかし「花四段」はそれにとどまらず、豊富な取材と拘りぬいたディティール、幼馴染・兄弟・親友・恋人・パートナー・先輩後輩・ライバルといった多種多様な人間関係をリアルに描いていることが、単なるコメディ作品にとどまらない奥行きと深みを生み出していると思います。
「バクちゃん」の再版を訴えよう!
「花四段といっしょ」は独特な配信形態をとっており、Twitterやpixivコミックで新作を発表後、そのまま単行本化されているようです。雑誌や有料配信などの発表媒体があるわけではないため(多分。間違っていたら訂正します)、単行本の印税収入のみがインカムになっていると思われます。
ですので、応援したい方は素直に購入しましょう。電子書籍も紙の単行本もあります。
また、「バクちゃん」に関しては現在紙の本が絶版状態のようなので、是非版元のKADOKAWAへ再販希望を行ってください。こちらのフォームから送信できます。メールアドレスのみで送信可能です。私は以下のように送りました。
商品・サービス名
バクちゃん
ISBN・製造番号
4047360813
お問い合わせ詳細
この度、電子書籍で「バクちゃん」を購入し、その内容に大変感動いたしました。内容的に、是非子供たちにも読み聞かせたい、広く読まれてほしいと思えるような作品でした。
しかし、電子書籍のみでは読み聞かせをしたり、図書館に置いてもらったりするのはなかなか難しいかと思います。
そこで、是非単行本全二巻について再販をお願いいたしたく、要望のメールとさせていただきます。
是非ご検討のほどよろしくお願いいたします。
皆様も増村先生のTwitterや花四段公式アカウントをフォローして、是非ともご活動を応援してください。
今後私がブロックされないことを祈っています。
★本記事が面白かった方は、是非とも「購入」ボタンを押して私へのカンパをお願い致します!(購入してもお礼メッセージが表示されるだけで、続きはありません)
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