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ライターを社員で募集! AIに負けない本物のスキルが身につく場所

ビジネス書出版社クロスメディア・パブリッシングには、「コンテンツデザイン室」という部署があります。主な仕事は、書籍やメディア記事のライティング。

出版社が自社にライティングの部署を置くのは稀で、多くの場合はフリーライターや編集プロダクションなどにライティングを外注しています。それなのに、なぜ、クロスメディアではライターチームを組織しているのか。
コンテンツデザイン室室長の久保木は、「ライターの役割を次のステージへ」と語ります。

――出版社ではライターに外注することが多いと思いますが、なぜ社内に部署をつくったのでしょうか。

単純に文章を書く人が必要なのであれば、たくさんのフリーライターがいます。それでもチームとして組織するのには、いくつかの理由があります。

まず、コンテンツの質を高めるためです。私たちが制作するのは、主にビジネス書のライティングやウェブ記事制作など、クライアント企業の情報発信のためのコンテンツです。わかりづらい文章や誤解を招く表現をしてしまえば、クライアントに貢献できません。私たちが提供するサービスに特化した意味でのスキルが必要で、そのためには社内で育成したほうがスムーズだと考えています。

加えて、幅広いコンテンツをつくりたいという狙いがあります。書籍とウェブ記事のライティングを比べただけでも、求められるスキルは異なります。さらに、ウェブサイトに載せる経営者のメッセージや広報誌、プレスリリースの制作。コンテンツマーケティングの戦略立案、オウンドメディアのステートメント策定、企業のビジョンメイキングに近いことも行います。


それらのすべてに対応するためには、企業や経営者の考えを言語化し、アウトプットに合わせて最適化することが必要です。これらのスキルを総合的に持つ人を探すのは難しく、社内で育成することになりました。

私たちは「企業内編集部」というコンセプトを掲げています。現代では、企業の情報発信の重要性が増しています。いい商品、便利なサービスを提供するだけでは差別化できない。人が商品を選んだり、どこに勤めるかを決めたりする際には、「その企業がどんな想いでビジネスをしているのか」という点での共感が大きな要素になっています。

けれど実際には「口下手」な企業が多い。そこを私たちがサポートしていきたいと考えています。現在提供しているサービス以外にも、いろいろな可能性があります。新しいチャレンジをして、次の事業を生み出していく。そのために、「ライティング」を超えたスキルを磨きたいと考える人を探しています

――なるほど。ではライティングを超えたスキルとは、どんなものでしょうか。

これから必要なのは「編集力+ライティング力」です。編集とライティングは別物と捉えられていますが、これからは、その区別がなくなっていくと思います。

文章をつくる上でのこまかな文章スキルは、すべてAIが代替できます。インタビューにしても、無難な質問案ならAIに考えてもらうことができます。「聞いて書く」「調べて書く」だけのライターは早晩仕事を失うはずです。

ライティングに必要な編集力を分解すると、「仮説力」「引き出す力」「整理力」です。

まずは、仮説力についてです。「企業や経営者の考えを言語化する」というプロセスは、相手によっても、アウトプットの種類によっても異なります。毎回新しいチャレンジであり、都度最適な手段や順番の仮説を立て、実行していく必要があります。

それに、価値あるコンテンツをつくるためには、相手の奥底にあるものに着目しなければいけません。表面を撫でるような質問ではなく、「こういうことを言いたいんじゃないか」「ここに隠れた想いがあるのではないか」という仮説を立てる。それが合っているか間違っているかは問題ではありません。むしろ、間違っているほうがいい。こちらの予想を超えた内容が隠れているということであり、深い仮説は、同じ深さの答えを連れてきてくれます

そのように、深い仮説を立てたうえで、実際に目の前の相手から本当の想いや考えを引き出す力が必要です。同じ内容を聞くのでも、質問の仕方で出てくる答えは違います。自分の人間性や人生経験も踏まえ、相手の本音や隠れた想いを言語化していきます。

引き出したコンテンツを世の中に伝えるために必要なのは、整理力です。情報を分類し、取捨選択し、順番を整える。それさえできれば、魅力的なコンテンツになるはずです。もちろん、情緒的な文章や印象的な表現が必要な部分もありますが、最も大切なのは「わかりやすさ」だと考えています。

――コンテンツデザイン室の仕事のやりがいは、どんなことでしょうか?

極論を言えば、ライターは誰にでもなれる職業です。日本語は誰でも書けますし、資格や認定制度があるわけでもありません「自分はライターだ!」と名乗れば、その日からライターです。

しかし、一人前になるのはとても大変です。まず、業界全体に、ライターを育成する仕組みが整えられていません。もちろんスクールなどはありますし、そこである程度のスキルを学ぶことはできますが、やはり経験を重ねることでしか成長できません。

また、ライターというとちょっとおしゃれな雰囲気もあると思いますが、実際には9割は肉体労働です。特にブックライティングの場合は、作業量も多い。慣れている人でも、1冊書くのに平均1カ月くらいはかかります。

それに、文章を書くとなると「センス」のような部分が大事だと思われますが、これも実際には9割が「論理」です。話の内容を並べて構成して、矛盾のないように組み立てていく。そのためには、高いレベルの論理思考が必要です。

ウェブライターをしていても、こうした点でブックライティングに対応できず、挫折してしまう人がたくさんいます。それならまだ別の道に進むこともできますが、もっと怖いのは、自分に実力がないと気づかないままキャリアだけを重ねていく人です。

ブックライティングの場合、ライターの評価は、基本的に編集者によるものだけです。成果物に対してしっかりフィードバックしてくれればいいのですが、多くの場合は編集者が自分で直してしまったほうが早いので戻しません。あるいは、編集者自体に評価能力がなく、不十分な内容のまま世の中に出てしまうことがあります。

それでもこれまでは仕事があったわけですが、お話しした通り、これからは難しくなります。せっかくライターとして働くなら、どこに行っても通用する、新しい時代にも適応できる力を持つ方向に進むべきだと思います。

当社の仕事を担当していくことで、本物のスキルを身につけることができるはずです。これまでのライターの役割を超え、次のステージで活躍する。そのために、ぜひ当社で一緒に頑張ってもらいたいと思います。

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