【編集日記】不動産×エンタメで気軽にリテラシーを高められる本を目指して
こんにちは。編集担当の川辺秀美と申します。
企画の背景からこの本ができるまでをまとめてみます。
「お金出してでも、相続の本をつくりたいんですけど、どう思われますか?」
「そんなの、やめたほうがいいと思います」
「なぜですか?」
「直接的にビジネスにつながらないからです」
「はぁ、じゃあ、どうすれば……」
著者は泰道征憲さんと中瀬桃太郎さんです。二人はYouTubeチャンネル「桃太郎オフィス」を運営していて、大成功しています。
そんな二人が某大手出版社からオファーを受けていたものの、あまり納得していなかったことで、第三者を通じて、私のところに相談がありました。
「桃太郎オフィス」のチャンネルについては、全く知らなかったのですが、調べてみると、ショート動画の平均視聴率はずば抜けていて、20万~70万視聴くらい、もしくはそれ以上ありそうでした。
著者としての計り知れないポテンシャルを感じた私は、以下のように回答しました。
「直接ビジネスには結びつけるような企画はやめましょう。どうせやるなら、社会的なムーブメントにつながるようなインパクトをもたらしましょう」
誰も知らない「不動産鑑定」の世界を面白おかしく
「不動産鑑定をテーマにしてみませんか?」
「なるほど。それなら、書くのに困らないと思います」
「で、悪魔の不動産鑑定ってどうでしょうか?」
「えっ、どういう意味ですか?」
「不動産って、悪魔的じゃないですか? 一般に情報公開されているものは少なく、プロとアマではもっている情報が違いすぎて、何を信用していいのか、判断がつきません」
「なるほど。私たちも、じつは同じような感覚をもっていて、適切な不動産情報を知ってもらいたいと思っていました」
こんなやりとりのなかで、企画は固まっていきました。
ただし、著者二人の当初目的は新しい事業創造にありました。
それについての私の回答は以下のものです。
「不動産鑑定の面白さを伝えれば、それが信用につながり、結果として事業に貢献します」
この口説き方がいいのか、悪いのかは別として、著者に納得していただいて、企画が進行することになりました。
『おとな六法』をお手本として、なぞる
ベストセラーとなった『おとな六法』にならって、書籍のフォーマット、デザイン、マーケティング、PRまでをほぼまねて、踏襲いたしました。
『そんなの、オリジナリティないよね』
とツッコむ方も、いらっしゃるかもしれません。
しかし、マーケティングの定石としては、成功パターンをベースに計画・実行していくのは当たり前のことです。
やはり、成功したには、それなりの要因があります。
まず事前PRとして、Amazonでの予約数を1,500冊と設定しました。この数字はかなり高い目標です。ちなみに、『おとな六法』の時は、目標を3,000冊としましたが、これを大幅に上回って7,000冊となりました。ただし、この数字は異例ですので、今回のプロジェクトには適用できません。
『悪魔の不動産鑑定』のAmazon予約数は、結果として約2,000冊となりました。初動としては十分な数で、この事前反響もあり、発売前重版もできました。
もはや編集・制作の時代は終わり、PRの時代へ
最近、痛感していることがあります。それは、以下のことです。
編集の時代は終わり、PRの時代に突入した。
出版における編集者の力は大きいですが、本をつくるだけの編集の時代は終焉しました。これからは本をつくるだけの編集者は、まったく通用しません。
本をつくる能力をもっているのは当たり前ですが、本がコンテンツとしてそのマーケットにおいて最大の価値をもたらすには、どうすればいいのか?
それを計画・実行できる人だけが、本を編集する仕事を続けられるでしょう。
もはや、事前・事後のPR計画・実行は当然のことであり、そういう文脈から考えると、今まで著者だった人は著者ではなくなり、今まで編集者だった人は、編集者ではなくなる時が、あと数年のうちに訪れるでしょう。
なんか、最後はノストラダムスの予言者みたいな言葉になってしまいました。
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