『守ること。進むこと。』限界集落の危機
【限界集落とは】
働き盛りの住民が減り、高齢者が人口の半分以上になった集落。
【心が穏やかになれる場所】
私は、私用で四国のとある地域へ行った。
そこは、海が近く、山あいに位置する集落。
波の音、ウグイスのさえずり、草木の触れ合う音以外は聴こえてこない。
心が穏やかになれる「静かな場所」だ。
夜は静寂に包まれ、朝になると鳥のさえずりとともに目が覚める。
ここでの日常は、都会に住む私にとっては非日常的で、忘れていた大切なものに気づかされた気持ちになった。
美しい風景ととも、この土地に伝わる面白い数々の伝承が、私の子供心をワクワクさせた。
【集落の危機】
集落には数人の住民しかいない。
若者はいない。
全員が高齢ながら、「くらし」「自然」「文化」を必死に守ろうとしているが、ゆっくりと流れる時間の中に、どこか緊迫した空気が漂っているように感じた。
近年、集落存続の危機から外部から企画会社や専門家、学生を招き入れ、まちおこしを図ったが、中身のないプログラムは、地区の貴重な財源や寄付金を湯水の如く使い果たし、生産性がないまま止まっている。
多少のきっかけ作りにはなっているだろうが、外部の人間の懐を肥やす手段になっている状態だ。
【守ること。進むこと。】
この場所を守るために。そして、進むために。。。
私は、この矛盾ともとれる課題に取り組まなければならない。
「くらし」「自然」「文化」を尊重し、後世へ伝えていける良質な人を増やすこと。
「地場産業や土地の強み」を活かし、事業を発展させられる「新たな切り口」と「雇用」をつくること。
県外からの大型資本を投入し、多くの人が訪れる施設はつくれる。
しかし、それでは大切なものをまた失うだろう。。
静かなくらし、美しい風景、きれいな水、水産資源、数えたらきりがない。悪質な人間による密漁も横行する可能性もある。
答えが簡単に出ないことは知っている。
しかし、建築と向き合ってきた人間として、細心の注意を払い、この土地の文脈に向き合いたい。
つづく。。