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無個性ってもはや、個性?
僕はどちらかというと個性的な人間ではないと思う。クラスのリーダー的なタイプではなかったし、かといって不良でもヤンキーでもなかった。俗に言う「モブキャラ」というのが自分にはぴったりな言葉なのかもしれない。
いい意味でも悪い意味でも、自分がどう思うかよりも、相手がどう思うかの方に興味があるし、他人の影響もすごく受けやすい。ひどい時は、隣にいる人が「お腹が痛い」と言うと、なぜか自分まで腹痛を催すこともあるくらい。
今回noteの順番が回ってくると決まって、自分には書けることが何もないのでは?どうしたらいいだろう?と偶然隣に座っていた会社の同僚の石原くんに相談したところ、「何もないところが後藤さんのいいところなんですよ」と言われて、なるほどなと。
ということで、今回も他人の影響をしっかり受けながら、そんな無個性な僕だからこそ作れる広告があるのかもしれない。そんなお話をさせていただきたいと思っています。
自己紹介。
初めまして、無個性アートディレクターの後藤浩文と申します。
ソリューションアイデアの専門店街として取り組んでいる「ADK CREATIVE MALL」の中で「DESIGN & BRANDING」というコンセプトを掲げ、デザインの力を信じ、多様化するコミュニケーションをデザインの力でまとめブランディングしていくといった、企業の課題にど真ん中直球勝負で挑む、気合の入ったチームに所属しています。
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様々な専門性を打ち出すチームがある中で僕が所属するチームはモールマップでもど真ん中!
ある意味、無個性な自分にはピッタリの位置なのかもしれませんね。
(ちなみに僕以外のルームメンバーは割と個性的な人ばかりですよ。)
自分の経歴について少しだけ。
20代前半は、小さなデザインプロダクションで修行の日々。チラシや通販カタログ、商業施設のPOP、イベント装飾から設営まで、いただける仕事は全て受けますと行った感じで、デザイナーとしてのスキルを磨いていました。
途中、紆余曲折あってパチスロの世界に片足をつっこみかけますが、やはりデザインの仕事がしたいと思い転職。
某有名クリエイティブエージェンシー直轄のデザインプロダクションで、初めてマス広告に触れ、世間を騒がせるような有名クリエイティブの制作に関わらせてもらいながら、自身もアートディレクターを目指すように。
そして今、ADKクリエイティブ・ワンでアートディレクターとして働かせてもらっています。
第一印象をデザインする。
無個性な僕は、どうしたら自分のことを相手に印象付けられるかをよく考えます。その試行錯誤は広告にも必要で、僕は職業柄コマーシャルやポスターなど広告を意識して見るようにしていますが、ふと周りを見てみると、CMを凝視したり、立ち止まって広告を見ている人はなかなか見かけません。言うまでもなく広告は意識して見てもらえるものではない。そんな中で記憶に残る広告とはどんなものなのか。僕は共通点の1つに、“デザインされた第一印象”というものがあるのではないかと思っています。
“デザインされた第一印象”とはなにか?
コマーシャルをスキップするまでのその一瞬。駅のポスターの横を足早に通り過ぎるその数秒。接触時間が短い中で、それでも人が広告に触れた時、最初に目に入るビジュアルは、言うなれば広告を出している企業や商品の第一印象のようなものであると僕は考えます。
「人は見かけが9割」という著書がありますが、「広告も見た目が9割」とまでは言いませんが、ビジュアルが与える印象はすごく大きいと思うし、どんな印象を残せるのかもデザインで大きく変わってきます。
ビジュアルが与える印象を理解しデザインしてコントロールすることで、コミュニケーションの入り口をつくってあげるのは、アートディレクターの役割の1つだと思っています。
さらに、多様化するコミュニケーションの中で、それぞれのファネルでも共通の印象を作りだすことができれば、それが一気通貫したコミュニケーションになり、企業や商品の個性となって、ブランディングにも繋がっていきます。
デザインの力でブランディングしていく。
まさに、DESIGN & BRANDINGです。
得意なジャンルは全部。
どんなジャンルが得意なの?
たまに聞かれることがある質問ですが、答えは簡単。
全部得意です。(キラーン)
なんじゃこいつと鼻についた方、もう少しだけ聞いてください。
そもそも、無個性な僕には何かに特化したジャンルというものはないと思っています。でもそれは逆に考えればどんなジャンルの仕事でも興味がもてて抵抗なくとりくめるということ。どんなジャンルの仕事でもフラットな視点をもつことができるということ。どんなジャンルの仕事でも伝えたいメッセージに共感することができるということです。得意なものがないのではなく、 苦手なものがない=全部得意ってことなんです。
なんだかとんちのように聞こえるかもしれませんが、企業によって課題も違えば個性も違うのに、得意なジャンルばかりで勝負していては最適なソリューションを提供することはできません。だからこそ、クリエイターは「全部得意です!」と胸をはって言えるべきであると思うのです。
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これらは、最近僕が担当させていただいたお仕事の一部です。ここでは紹介しきれないものも含め、どんなジャンルの仕事でも、どんなトンマナでも対応できるのは無個性な僕の強みだと思っています。もしかしたらデザイナー時代の、いただける仕事は全て受けるというスタイルが今に生きているのかもしれません。
それでも、どうしても自分に知見が足りないと思うジャンルの仕事であれば、すぐさまそのジャンルに強いスタッフを仲間に引き入れることにしています。意見が割れた時は、あえて相手の意見を採用したりもします。
(B案としてしれっと自分の案も出すこともたまにありますが・・・)
結果その方がうまくいくことの方が多いと過去の経験からも感じます。自分の意見に固執しないで平気なところも無個性の強みなのかもしれません。
10年間制作会社で修行してきた
叩き上げアートディレクターが信じるもの。
ここまで書いてきて気づいたんですが、僕にとっての無個性ってもはや、相手の個性がよく見えて、多角的に物事を見ることができ、柔軟な対応ができるという、ものづくりにおいてはある種、強烈な個性なのかもしれないと思ったりもしました。無個性も捨てたもんじゃありませんね。
時代錯誤ではありますが、デザイナー時代の10年間はほとんど休みもなく、良いものも悪いものもたくさん見てきてたし、つくってきました。今でも、自分で手を動かしてデザインすることを忘れないように意識していますし、そうしているのは最終的に自分の思い描くものは、自分にしかつくれないと思うからです。
時代が変わって、企業や広告も多様化し、求められるものも多様化してはいますが、それでも提案した1枚のキービジュアルが軸となって、広告やブランディングの目指すべき方針となることがときどきあります。その度にやっぱり僕は、デザインの力や可能性を信じてやまないと思うのです。
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後藤浩文 Hirofumi Goto
アートディレクター
プロダクション、クリエイティブエージェンシー直轄の制作会社を経て、ADKクリエイティブ・ワンに入社。
読売広告大賞部門賞〈カルチャー・エンターテインメント〉
毎日広告デザイン賞部門賞(出版・映画・興行・放送)
企業の個性をデザインの力で引き出したい!と思っているご担当者の皆さま是非、無個性AD後藤まで!