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とある大豆の一生①

「将来は味噌になってお味噌汁として体を暖めたいな」

「私は豆腐がいい。イソフラボンって女性に人気みたいだよ」

大豆が生産され、その後の進路は味噌や豆腐、しょうゆ、水煮など。さらにそこから高野豆腐や、うすくち醤油こいくち醤油と多岐に進むことができる。しかし、希望の道に進めるかどうかはいわゆる私たち消費者や卸売業者によって決まる。

今日はある地方のスーパーへ出荷されることが決まった。
冷ややかなマシンによって僕たちはひとつの袋へ詰められた。販売先のスーパーに着くまでひまなので、同居豆たちと暫しの談笑を楽しんだ。

大豆A 「なあ、僕たち何に調理されるんだろう?予想しようよ。」
大豆B 「袋詰めだからきっと同じ調理先じゃないかな。私はきな粉と思う。」
大豆C 「いや、豆腐として作られる過程で湯葉や豆乳になるかもしれない。最後まで分からないや。」

そして、スーパーへ到着。たくさんの人がちらちらと視線を向けてくる。
「売れ残って廃棄にだけはなりたくないな」というのが、ここにいるみんなの共通の声だろう。たとえどんな道へ進もうと。

ふと、体が中に浮いた気がした。大豆Aは袋の中腹へなだれた。
大豆A 「なんだなんだ。…あ!お客様だ!」
視線がばっちりと合いった。その目は優しかった。そしてかごのなかへ入れられお買い上げ。
大豆C 「やったー!僕たちを買ってくれた!うれしいなぁ。」
その他の大豆たちも、そわそわと嬉しそうだ。

彼らは何になれるのか。期待を胸に消費者宅へ向かう大豆たちであった。

***続く***

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