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kao1248
【創作485字】冬眠 #詩のようなもの
まだ起きていたの?
凍える寒さの中、よく頑張ってきたね。
しんしんと雪が降る日も、吹雪の日も、痛みを覚える氷点下の雨にも耐えてきたんだね。
はやくこっちにおいで。
ここは1人じゃないよ。
温かいよ。
食べ物もたくさんではないけれど、あなたを満たすくらいにはあるよ。
だからほら、早くこっちに。
そうだったんだ。
君だけ居場所が見つからなかったんだね。
誰にも入れてもらえず、冷たい雪を踏み締めて彷徨っていたんだね。
君は身体が大きいから、冬眠場所が見つけられなかったんだよ。
ううん。
君が悪いんじゃない。
君を受け入れられないこの山と他人が悪いんだ。
“穴持たず”なだけで傷つけてきたやつらが悪いんだ。
君は誰1人として傷つけてこなかっただろう?
君のその大きな身体なら先住人を追い出すことだって、容易いはずだ。
でもそれをしなかったのは弱さじゃない。
強さだよ。
だからそんなに自分を追い詰めないで。
「消えたい」なんて言わないで。
いや、言ってもいい。
何度でも言えばいい。
でも、どうか生きていて。
じゃあ、全て忘れてしまおう。
全部投げ出してしまおう。
ほら、ふわふわの巣材に包まって心の温度が上がるまで。
さあ、眠ろう。
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