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子供の頃聞いて怖かった昔話を再読してみたら知らないことだらけで、思い込みが外れる話。

幼い頃の朧げな記憶…絵本は母や父に読み聞かせしてもらったというよりもカセットテープ(昭和の時代を感じます笑)で聞いていたような気がします。今で言うとYouTubeで子供に読み聞かせている感じでしょうかね。

休日に家族で出掛ける時、車中では世界の童話や日本の昔話が流れていて、ある物話が流れてくると私は必ず自分の耳を塞いでいた記憶が残っています。とにかく、なんだかなぜだかその話を聞くのがとても怖かったのです。



今回それらを再読してみようと思わせてくれたきっかけは、

少し前に絵本の虫さんが設置するLFL本棚のラインナップを変更された記事です。その中で子供の頃に怖かった絵本について書かれていました。
そうだ!私にもあったじゃないと思い出し、絵本記録をnoteで書いているんだからこの怖かった物語に挑戦してみよう!と思いました。


読んだのは、この二つ。

『おうさまのみみはろばのみみ』
岸田衿子/文
村上 勉/絵
みんなでよもう!日本・世界の昔話6


『耳なし芳一』
ラフカディオ・ハーン/作
脇 明子/訳
岩波少年文庫563


記憶とは曖昧なもので…(いや私の記憶か笑)

『王様の耳はロバの耳』なんて殆ど初見か?と思う程(苦笑)
誰にも言えずに我慢していた王様の秘密を床屋が叫ぶ言葉だけが頭にこびりついていたようで、

  • 元々王様の耳が長くて帽子もいつも被っていたこと

  • 何人もの床屋が王様の秘密を黙っていられずに殺されていたこと

  • 秘密を口外できないことで床屋のお腹がパンパンに膨れ上がっていたこと

  • 掘った穴に秘密を吐き出しそこから木が生えたこと

  • その木から大工が笛作り、吹くと「王様の耳はロバの耳!」と流れだして町中の人に秘密がバレたこと

なんてことは、記憶にありませんでした。
どんだけ自分の耳を塞いでいたのか(笑)
聞いたのは違う訳だったのか?

あとがきで岸田衿子さんが書かれていたように、国が違えばもっと怖い話にもなっているらしいのですが、最後に王様自身が笛を気に入りロバの耳を肯定し円満ハッピーな終わり方は日本ならではなのかもしれません。そして村上勉さんの描かれた可愛い絵は怖さなんて全く感じさせず、物語に彩を添えてくれていました。

私は何をそんなに恐れていたのか??最後まで話を聞いてなかったのか(笑)子どもの想像力で怖い話にしたてあげていたのでしょうか?!笑


『耳なし芳一』の方はこれまた、作者がラフカディオ・ハーンだと初めて知りました(笑)
ラフカディオ・ハーンといえば、怪談で有名な小泉八雲です。

名前だけの知識だった小泉八雲についても、ここで深めることになります。
ギリシャ生まれアイルランド育ちのハーンは、父母の愛に恵まれずその後も孤独な人生を送り、新聞社との契約で日本に来て松江で日本人セツと結婚し帰化して八雲と名乗り、その後転々と教職をしながら妻の協力もあり本やエッセイを出版します。

ハーンはこうした不思議な物語がとりわけ好きで、セツがいろいろな本からみつけて語って聞かせるのに、熱心に耳を傾けたということです。
ですから、ハーンのこれらの物語には、すべて原話があり、出典もほとんどわかっています。しかし読み比べてみると、ハーンの語り口には、自分で想像力を働かせているからこその、独特の力とふくらみがあることを感じないではいられません。

『雪女 夏の日の夢』脇明子氏のまえがきより



この岩波少年文庫の本には、ハーンが書いた画や欧米で出版された本の表紙の写真などもあり、日本の物語12編と外国人であるハーンの目を通した日本を語るエッセイ4編を興味深く読みました。

特に、僧と猟師の知恵くらべのような「常識」、ちょっと怖い「食人鬼」、お釈迦様の大説法会の様子を再現させた「天狗の話」、不思議な現象が井戸に落とされた鏡のせいだった「鏡の乙女」、終わりがなくオチは読み手次第?の「弁天さまの情け」、マジシャンのような「果心居士かしんこじの話」、ゾワっとする「伊藤則資の話」などはおもしろく、浦島太郎と若返りの水の物語を含んだ「夏の日の夢」はハーンが浦島の気持ちと自分を重ね合わせたようなエッセイで不思議で面白かったです。


さて、本題の『耳なし芳一』はというと、
今読むとそれなりに知識もあるからか時代背景なども加味し、ハーンの書く作品がとても細やかで臨場感があり美しい文章だと感じました。(これは訳された脇明子さんの腕にもよるのかも)

壇ノ浦の戦いに敗れた平家の亡霊のしわざだったという理由などを知ると、芳一を夜な夜な連れ出して琵琶の弾き語りをさせたというのも分からなくもない。耳だけ見えていたので主君に忠誠を図る家来のしたことだと思うと、残虐な行為だったとも言い難い。

  • 芳一が盲目だったということ

  • 阿弥陀寺の和尚が耳だけお経を書き忘れたこと

などは、「あぁそうだったなぁ」と読みながら思い出した始末。
確かに耳を切り落とされたというのは子供心に衝撃だったのかもしれないけど、こういう類の昔話は他にもあったような気もするから、これだけ怖がって覚えていないのは不思議。

偶然にも、2つの話は耳繋がりなのも不思議(笑)


今回再読出来て、一つトラウマのような思い込みを解消できた気がします。

子どもに怖い体験をさせるのも、こういう無意識を植え付ける事にもなるのであんまりですね。怖さもその子その子で程度が違うでしょうが、もしそんな経験をさせてしまったなぁと気づいたら、後のフォローもしっかりしてあげることも大切だなぁと思います。

大人になって読んだ結果、「怖いから~苦手だわ~」って思い込んで避けてきたのが何か馬鹿らしく思えました。今まで持っていた思いは何だったんだ??って(笑)

本質を明らかにすると、その思い込みは解消される

これって、私たちがたくさん抱えている自分には不必要になった思いに対してもいえますし、活用できるような気がしますね^^



🍄追記🍄
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ありがとうございます♪

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