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【読書感想】さみしい夜にはペンを持て

絵本の合間に読む、気になった本の感想を書いています。

去年の夏だったか?noteの海を漂っていて、よくこの本のnote記事を目にしました。図書館で予約して待っていた作品。まだまだ待っている人がいる人気の一冊。

著者の古賀氏は、アドラーの教えを伝えた『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』を岸見氏と共著された方なんですねー。
2冊とも、過去に読んでアドラー心理学に興味を持った作品でした。本書はその著者である古賀氏が、13才に向けて書き下ろした作品だとされているけれど、人間関係に悩む大人にも読む価値のある作品だと思います。

『さみしい夜にはペンを持て』
著者:古賀史健
絵:ならの
発行所:ポプラ社(2023年)

【うみのなか中3生タコジローの
自分を好きになる物語】

【日記を題材にした文章術】



他者との関係の前に

『嫌われる勇気』が他者との人間関係について述べられているなら、本書は自分との関係を作るための指南書。
他者との関係の前にまずは自分自身、自分を好きになることが大前提だと私も思う。

これ、10代で読みたかったなぁ〜!私が自分のことを好きになったのなんて、ここ数年前だもの笑。
日記ではなかったが自分の気持ちや諸々をつらつらと書き出すノートと楽しくて学んだタロットで、やっと自分が何を思い、何に腹を立てていて、何を望んでいたのかを知り、自分との関係を深めていっている。

そうしてまずは自分と仲良くならなければ、他者とどうつきあえば良いのか考えにくい。これは大人でも大切なことだと思う。


さみしさについて

主人公タコジローが学校に行きたくなくてバス終点の公園で出会ったヤドカリのおじさんに教わった、大人のさみしさ。
周りに誰もいない事が子どものさみしさに対して、誰かと一緒に居ても感じる孤独は、その何倍にも感じられる大人のさみしさ。
私にも経験がある。自分を偽って笑ったり話を合わせたりするが、そこに本当の自分は居ない。それにも気づかず毎日を繰り返し気づかないフリをしてしまうようになる。

本書のココは大人の階段を登っているティーンズ達に共感を呼ぶだろう。そして私のように気づかないフリをしてしまう前に、その事に気づいて自分だけの場所・時間を持てる日記を書く習慣が出来るといい。きっと早く楽になれるから。



一番に分かって欲しいのは…

「人生最大の謎。それは『自分』だ。」

『さみしい夜にはペンを持て』P89より

ホントに!
自分は何者なのか?何を考え、何を望んでいるのか?
言葉にならない想いを、毎日書いていく。本書が推している『日記に自分の思ったことを書く』のは、自分という謎を解き明かすためなのだ。そのために日記で自分と向き合い対話する。

「あの時、自分はどう思ったのか?」
「本当は、どうしたかったのか?」

小さな出来事でも問いを投げかけることで、自分の考えを深めて気づきを得られる。

それはタロットを引くことと似ているなと感じた。
タロットが好きな理由もそれが出来るから。心の中や見たくない現実があらわになり、そこから自分の中やクライアントの中に問いかけが出来る。そしてその闇を見ないままでは気づきを得ることはない。

「考えることは、答えを出そうとすること」

『さみしい夜にはペンを持て』P129より

出たカード、出た答えが正解ではない。それを見て聞いて感じて、自分がどう思ったか?を考えるきっかけになればいいと私はカード引いている。簡単に答えが出るわけでもないが、「自分で考えること」に意味がある。

言葉にならない想いに気づくために、そして自分を知るために、考える・書く。

「じゃあ、ぼくたちが書くのは、自分のことをわかってほしいからかいてるの?」

『さみしい夜にはペンを持て』P266より


自分のことをわかって欲しいのは、
きっと誰よりも自分なんだよね。



ストーリーと文章術と

タコジローくんの物語は、親、友達や先生との微妙な関係やグループLINEの実態など多感な中学生活をとらえていて、ハラハラドキドキもする。そして何より日記を続けることによる彼の成長も見どころだ。

文章術としても、有益な本。
読者目線に立って読んでいておもしろいものが書けるようになるヒントがあるので、日常で文章を書く人には一読する価値があると思った。長文をダラダラ書きがちな私には耳が痛くとても勉強になった。実践出来ているかは…笑

自分をあまり好きではないティーンズに、大人に、
本書はオススメです。

ちょっとググってみたら、来月第二弾発売らしい!
今度は読書について。また読みたい^^




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