MUJIの電気毛布がつないだ、夫婦のあたたかい夜
◆ ふたりのための電気毛布
休日の午後、リビングで妻と話していた。
「無印良品の電気毛布、あれ、いいよね。もう1枚あったらもっと快適かも」
お気に入りの1枚はすでにあるけれど、ふたりでおしゃべりするときにもう1枚あれば、エアコンを使わずに暖かく過ごせるかもしれない。そんな話。
「じゃあ、早速買ってくるね」
私は夕方、街が煌びやかな光に包まれる中、冷たい風を感じながら肩をすぼめて歩いた。無印良品の電気毛布のことを考えながら。小さな希望を胸に足を速めた。
無印良品に着くと、在庫は少なくなっていたものの、無事に電気毛布を手に入れることができた。ほっとした気持ちで、「温かいコーヒーでも飲んで一息つこう」と考える。しかし、目当てのカフェはどちらも混んでいて入れそうにない。
急に気持ちが重くなる。理由ははっきりしないけれど、体まで重たく感じた。
近くのベンチに腰をかけ、この後どうしようか考える。
「少し混んでいても、さっきのカフェにもう一度行ってみよう。本当にしんどいけれど、自分を甘やかして、ゆっくり休もう。」そう決めて再び足を運んだ。
◆ 休むことの力
こうした気分の浮き沈みが、メンタルヘルスの不調からきていることは自覚している。けれど、私は心強い味方を持っている。
信頼できるかかりつけ医と処方された薬だ。医師の指示通りに薬を飲んでいるおかげで、症状はしっかりコントロールできているし、仕事も順調だ。
店内は混んでいたが、なんとか席を確保し、コーヒーとスイーツを頼んだ。
温かいコーヒーを口に含むと、少しほっとした。
それでも体の重さは完全には抜けきらない。イヤホンでクラシックを聴く、そのままいつの間にか眠ってしまった。
目が覚めると、心も体も驚くほど軽くなっていた。そのとき思った。
「これが、休むことの力なんだ」と。
いつも頑張りすぎてしまうけれど、たまには自分を甘やかしてもいいんだと気づいた。
感受性が豊かであることは、ときに心を揺らすけれど、それが私にとって大切な財産でもある。
他の人が気づかない美しいものを見逃さず、ささやかな幸せを見つける力。それは私の人生を豊かにしてくれるものだ。
◆ ふたりのぬくもり
家に帰る頃には、すっかり暗くなっていた。ドアを開けると、妻が笑顔で迎えてくれた。「おかえり」と言いながら、私が買ってきた電気毛布を見て喜んでくれた。
さっそくふたりで電気毛布を広げ、寒い夜を暖かく過ごす。
ふたりのための電気毛布。それはただの道具かもしれないけれど、そこには深いぬくもりがある。
感受性の豊かさを味方にしながら、また明日からも一歩ずつ進んでいこう。
焦らず、自分らしく。