笑え
奴らがやってくるぞ
大きな声で歌いながら
大挙して押し寄せてくる
馬鹿な言葉を書いた旗を振って
奴らがやってくるぞ
物語を本当にするために
ひとつとして意味をなさない
雄たけびを上げながら
奴らがやってくるぞ
支配するものに頭を奪われ
ゾンビのようなしつこさで
そこかしこを埋め尽くす
ひとことでも
そんな馬鹿なと
言ってもみろ
奴らがやってくるぞ
文字を書き換え本を焼いて
拳を突き上げながら
家に火をつけるだろう
奴らがやってくるぞ
主を讃えながら自分の足を食う
血にまみれた口に泡を飛ばしながら
お前の頭を吹き飛ばすだろう
奴らがやってくるぞ
奇声を上げて味方の背を撃つ
偽りの連帯に溺れながら
敵のために隣人の窓を割る
ひとことでも
そんな馬鹿なと
言ってもみろ
ひとことでも
狂っていると
言ってもみろ
奴らがやってくるぞ
おまえの正気を失わせるために
あんなに善良な顔をしていたのに
今は頭がとれて体だけだ
奴らがやってくるぞ
数えきれない命を奪い
形ばかりの哀悼を捧げ
これみよがしに正義を語る
奴らがやってくるぞ
おおげさに愛を語り
累々たる屍に一瞥もくれず
金の塔に王を崇めひれ伏す
いちどでも
奴らの帽子を
脱がせてみろ
奴らがやってくるぞ
やけくそで命がけの阿呆
現実よりも幻覚を信じる
誰も彼もを道づれにする
奴らがやってくるぞ
幇間の顔をした悪魔
巨大な炎に喝采し
贋作の絵を見せびらかす
ひとことでも
狂っていると
言ってもみろ
奴らには大切なものがない
空気を運ぶトラック
鏡の中に恋をして
夜な夜な自分を慰める
ひとことでも
そんな馬鹿なと
言ってみろ
ひとことでも
狂っていると
言ってもみろ
もっと笑え
嘲笑え
正気を奪われるまえに
もっと笑え
嘲笑え
54-46 Was My Number
※多少の刺激を得ていることを除けば、この詩と動画の曲は関係はありません。
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