サンゴ
ねえねえ ねえねえ
苛立つ声に揺さぶられ
浅い眠りから連れ戻された
あなたは身体を起こして
深く息をついている
たとえばさ
わたしが泣きながら眠った夜に
南の海でサンゴがさ
0.01ミリ成長したからって
なんだっていうの?
僕はすっかり悲しくなって
もう一度眠ろうとした
でもちっとも眠れやしない
僕のうなじには
あなたのため息がかかってる
深い夜に
またおしゃべりしてる
夜行性の動物なんか飼うから
かわいいよかわいいけど
いつもこんな時間だ
僕は果物をあげながら
明日の仕事を考えてる
眠っていいよと言うわりに
灯りは眩しいし
あなたは僕に寄りかかってる
今夜は満月
海を染めるピンク色に
魚たちが興奮するころだ
僕はやっぱり悲しくなるけど
あなたは気にしたりしない
暗闇に黄色い光が昇り
あたりが真っ白になったと思うと
空から瓦礫の山が降ってくる
ちょうどあなたが眠った頃だ
起き上がって毛布をかけた
うしろからギュッとする
窓の外はもう白い
なにもかもちぐはぐで
終わりそうな朝
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