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2022年3月の記事一覧
【連載小説】「くじらは神話を運んでくる(仮)」 | 第6話
犬が飼い主に尻尾振って陽気について行く如く小走りでフレイはロプトの後を追いかける。
旋回遊泳しているエグレゴアが、ロプトの後を追いかけるフレイを発見して、目を見開く。
―――やっと、めざめたのね
エグレゴアは遊泳をやめ、急ぎ上へ泳ぎ、漆黒の海の中に消えていった。
ロプトは立ち止まり、気だるそうに見上げ、エグレゴアが消えたことに気づく。
「監視の時間は終わりか?今回は早いな」
ロプトの目線をフレイ
【連載小説】「くじらは神話を運んでくる(仮)」 | 第5話
「なんで、分かるんすか」
少女ことフレイは、八つ当たりでロプトが座っている樽を蹴飛ばすが、ビクともしない。
蹴った反動でフレイの足が風船の如く赤く腫れ、「いってえ」と泣き叫ぶ。
ロプトはフレイの幼稚な行動を見て、やれやれ、というふうに力なく笑う。
「声で丸わかりなんだよ。お前の声は女子供とは程遠い、百年以上生きた爺さんみたいに低くてハスキーなんだよ」
フレイは足の痛みが収まったのか、意識が再度ロプ