ハーバード医学教授が教える健康の正解
著:サンジブ・チョプラ
●感想
企業が製品PRを裏目的とした研究結果ではなく、国や国際的な研究機関が発表している結果を基に5つの身体に良いことを端的に挙げており、そしてそれらがどれだけ多方面でプラスな影響があるのかを説明しているのが本書である。感想としてはどれも気軽にお金もそこまでかからずに取り入れることができるもので、いきなり全てという訳ではなくまずはどれか一つだけ、少しずつ始めてみようと思える内容だった。この手の他の本を読んだ際に同様の項目が推奨されていたが、あまりにも摂取する条件が細かく、例えばコーヒーで豆の種類や焙煎方法などといった、読んでいるだけで気疲れしそうなものもあったが本書はシンプルに書かれているのではじめの一歩として読むには最適だと感じた(本気で極めようと思ったら“他の本”に記載されていることを実践してみよう!)。「人生100年時代」と言われ60歳で定年生活なんて自分がその年になった頃には間違いなく消えているのだから今のうちに小さな努力をして健康を維持することが重要だと感じた。
●10分読書●
●あらすじ
40年医師をやってきて(医学に魅せられて)さまざまなことの国内外で著者が、医学的根拠がでている「ビッグファイブ」と呼ぶ“コーヒー”“ビタミンD”“運動”“ナッツ”“瞑想”を取り入れることで得られる素晴らしい健康効果を、販売業者の研究論文などからではなく世界的に中立的な機関からの根拠をもとに紹介していく。それらを実行していくことで大多数の人が健康を大いに促進し、寿命を延ばせることさえできる為である。
第一章 医師として断言できる「究極の飲みもの」
第一にコーヒーは様々な生活習慣病や疾病などの発症リスクを抑える働きがあり、更に用量依存性の効果も認められている。つまり沢山飲めば飲むほど予防効果が期待できる、というのが最新の医療結果なのだ。それらの背景にはコーヒーに含まれるカフェインをはじめ、カリウムやマグネシウム、抗酸化物質などが相互に作用しプラスな影響を与えているというもの。具体的には2型糖尿病や脳卒中、認知症の発症をそれぞれ10~30%ほど低減させる他、脂肪燃焼を促進する効果もあるという結果が様々な医療・研究機関から発表されている。
但しデメリットとしては覚醒効果が挙げられる。摂取後6時間は効果が続くと言われており、最後のコーヒーをお昼頃に摂取することが夜の睡眠の妨げにならないだろう。また、推奨摂取量という点でみると豆の種類や焙煎方法、飲み方(ミルク、砂糖を入れる等)、そして個人の耐性により異なる為、一概に●●杯とは言えないが一般的には1日4杯であれば健康的な成人にとっては安全であると言える。
第二章 これを「自分の身体」で生成せよ
「体内では生成されずに外界から摂取しなければならない、健康維持に必要不可欠なモノ」と定義される“ビタミン“のうち、著者は”ビタミンD(特にD3)”を摂ることが最も重要であると説明している。なぜならビタミンDは風邪から心臓疾患、血圧安定など様々な疾患の予防につながるという研究が報告されている為である。しかも体内の臓器などを最適に働かせる為にも必要であるとも報告されているのだ。背景に、ビタミンDは厳密にいうと、日光を浴びることで体内で生成される為に“体内ホルモン”であると近年になってわかってきた。だからこそ予防リスクに体内活発化にビタミンDが求められる。このビタミンD3を摂るに一番効果的なのは日中の正午に日に当たることが効率的と説明していおり、夏は20分、冬は30分当たれば一日に必要な量は生成できるという。(しかも日焼け止めを塗らずに!!)。それ以外の方法ではチーズ、サケ、マグロや卵黄などから摂取できるが1日に必要な量の20%程だという。だからこそ毎日日光に浴びることが健康的だという訳だ。
第三章 人生を本当に変えてしまう「シンプルな習慣」
「運動」が健康で長生きするのにつながることに疑問の余地がないと説いている。それはもし「運動」が与える影響を薬として販売できれば世界で最も多く処方され最も販売売上が大きいものであるという程であるとのこと。40年以上前の研究では週7時間以上の運動が推奨されていたが、現在はもっと少なく、負担も小さいような運動(一日に最低20分のウォーキングでもOK)を継続的に行うことで疾病・ガン予防や精神的な安定ももたらし溌剌とした生活を送ることができるまさに万能薬なのだ。とはいうもののいきなり生活の一部に運動を取り入れるのはなかなか腰が上がらないと思うのでその際に医師が提案しているのが「好きな運動(バスケでも縄跳びでも)を週3回、1回につき20分」であり、それを行うだけでも十分な効果が期待できるという。しかしもっと多くの運動をすることで効果が得られることは明白であり、推奨するのは1回30分のウェイトトレーニングを週3行うことである。その際に1セット12回で器具を回していき負荷値は12回目をぎりぎりで挙げられる状態がベストである。
第四章 あまりに無駄のない「驚異の食べ物」
はるか昔より人間が命維持の為に食べていたといわれる最も優良な食べ物は「ナッツ」であると説明している。ナッツにはタンパク質や脂肪、植物性オメガ3系多価不飽和脂肪酸、植物性栄養素、ビタミンC,Eなどの抗酸化物質などが多く含まれている。ひと昔まえは脂質が多いことからアメリカでは太るといわれてきたが最新の研究ではナッツに含まれる脂質は身体に非常にプラスであるので体重が増えるということは無いとまで言い切っている。具体的には週5日以上摂取している人は心臓疾患リスクが約25%低く、摂取していない人と心臓発作の発症率を比較した際には約60%も低いという研究結果が発表されているほどなのだ。しかし注意して欲しいのは“ピーナッツバター”はその限りではなく、製造段階で余計な脂肪や糖分に加え、賞味期限を延ばす為に
トランス脂肪酸まで含まれている為に、やはり摂取するのであれば純粋なナッツを摂取することを強く推奨するのだ。その純粋なナッツを1日に1~2オンス(28~57g)を摂る。アーモンドなら25粒、ピスタチオなら49粒、マカデミアナッツなら17粒、それらを摂取することで素晴らしい結果をもたらすことができるのだ。
第五章 「瞑想」の明らかな力を生かす
「瞑想」というとエセ宗教的な空気がするが、それ自体に宗教とは何の関係が無く独立している行為である。昨今の研究で科学的にプラスな影響を及ぼすという結果が報告されつつある。瞑想にはあストレスを軽減し、血圧下げる作用が発見されており、その結果として心臓疾患の予防や不安、うつ、怒りなどを和らげ心身共にプラスに変えてくれるというのである。その効果には禁煙やうつ病という気持ちの不安定からくる行動に対しても有効にはたらくとのい結果まででているのだ。一般的に瞑想には①マントラ瞑想(言葉やフレーズを頭の中で繰り返す)②リラクゼーション反応(心を静め、平穏な状態を保つ)③マインドフルネス(主に呼吸に集中することで自分の思考と周囲に気を向けるという、禅の考え方)④ヨガ(呼吸法と身体運動を含む)という主に4つに大別される。その瞑想は1回20分が推奨されており、静かな場所でおこなうことを勧めているが必須ではないので通勤電車の中などでも是非ためして欲しい行動であると説いている
第6章 「次点」はこれだ」
これまでビッグファイブ以外にも様々な推奨されるべき事項が研究者によって発表されてきたが本書で掲載しなかったのはあまりにも個人差があるという点だ。しかしもし次に勧めることができるものというと「アスピリン」である。アスピリンは心臓発作のリスクや幅広いガンの発症率を下げてくれる効果があるが、常人が使用し続けると重篤な副作用を生じる可能性があるのだ。常用することで消化器官を傷つけ十二指腸潰瘍や炎症性大腸炎などが生じる可能性がある。その為に心臓発作や脳卒中の既往がある人に是非アスピリンの常用を提案したいと説明している。
その次に挙げられるのが食事法である。ダイエット(食事療法)が幅広く認知されており、地中海式地中海式ダイエット(植物性食品を主にしバターや塩の変わりにオリーブオイルやスパイス、ハーブを料理に使用する)やビーガン食(動物性食品を完全に排除する)が有名であるが本書で食事法を挙げなかったのは統一したエビデンスに欠けている為であると説明している。
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