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「悪魔のようなあなた」

2016/04/09

2014年4月に急激に減酒したとたん始まった腰痛が時々耐えられないレベルに達する。

昨年初めて受診したY市のオステオパシーはとても良かった。オステオパシー+フラワーエッセンスという、ちょっと変わった治療院だが。

2月に牡蠣のノロウィルスであたってからまた痛みがぶり返してしまったので、そのオステオパシーの御嶽(みたけ)先生に予約のメールを出した。
するとやはりカウンセリングだけでなくフラワーエッセンスもしたほうがいいと言ってきた。

昨年初回のカウンセリングを受けた際、私は節酒のつらさ悲しさを先生に聞いてもらった。
主訴は腰痛だが、フラワーエッセンスを処方するのに色々質問されるので答える。

さて、2回目の施術もまずカウンセリングから。
私は「飲みすぎてもお酒でぽっくりは死ねない」「ア依存になり、人に迷惑をかけたり社会的な死や経済的死などの段階を踏んで苦しんで死ぬ」と言った。この先生、穏やかで丁寧で実直な印象だ。質問もフラワーエッセンスのために長い。

その後整体に移った。施術をしながら御嶽先生は静かに話した。
「私の知人はお酒でぽっくり死にましたよ飲み過ぎがたたって大動脈破裂でした。あっと言う間に。だからお酒でぽっくり死、できるんじゃないですか?」

と聞くので私は「好きなだけ飲み続けて運よくぽっくり死ぬ人もいるけど、それはよほど運のいいケースのようですよ」と説明した(亡くなった方々には申し訳ない)。
こんな知識を得てしまった自分もいやだけど御嶽先生は、アルコール依存性のことはあまりご存知ないのかなと思った。

私とて自分がプレアルコホリックになるまではこんなこと知らなかったのだ。普通の人々はこんな知識はない。ここの患者になる人で、ア依存症者はそうそう多くなさそうだから整体の先生だからとはいえ知らないこともあるだろう。


そして、その後3週間ぶりにまた御嶽先生の施術を受けた。フラワーエッセンス処方のために丁寧な、非常に丁寧なカウンセリングを受けた。

最近お酒のことはどうかと聞かれたので
月2回の飲酒は守っているし、月に1回しか飲まないこともあると話した。

また、ここのところ大酒を飲む人々との宴会があり、その時は辛かった自分はかつて一緒に飲んでいたのに等々。

丁寧にカルテを書く先生。

カウンセリングが終わり整体に移る。以前よりは身体が柔らかくなったらしい。


施術中に先生が言った。

「お酒月2回とかがんじがらめに厳しく決めるのはどうなのでしょう。
時々は楽しみもないと」

きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

耳元でそんな優しいことをささやかないでください先生、
整体施術中だからたまたま耳元だったのだがそんな甘いことを言うなんて

「悪魔のようなあなた」(アラン・ドロン主演、観てないけど)。

この人本当に分かってないんだな。半年断酒前のワインをやめられない時期にこんなに優しく悪魔のようにささやかれたら、そうだよねと飛びついただろう。

私はゾッとしながら先生に
前にも言ったが私はプレアルコホリックだ、ワインは今でも美味しい、時々は楽しみも、なんて言ったらどんどん飲んでしまう。だから酒に関してはあり得ないほど厳しい基準を自分に課して取り締まるのだと言った。


先生は
「あ、ちょっとお待ち下さい」と言って整体を中断し
「厳しい基準を課して取り締まる、のですね」と、カウンセリングのカルテに書き込んだ。

いえいえいえいえ笑、
お酒に関してだけですよぉ、自分に厳しいのは。

カルテにそんな風に書かれると節酒のためにやっていることが私の性格全般のようではないか。

御嶽先生のことはさておき、私がプレアルコホリックになった以上、普段は自分に甘い性格だろうがどんなに優しい悪魔がささやこうがお酒の量と機会を制限することはしなければならない。何度も書いているが、今の私の生活、社交などなどを考えると月2回の飲酒のみ可というのはあまりにも厳しく不自然極まりない。

だからこそもっと自然に柔らかになんてやってしまったらタガが外れることは目に見えている。前に戻るのはイヤだ。絶対に。

だから誰になんと言われようが月2回しかワインを飲まない。

※後になってわかること追記: 機会性飲酒をたまにする人、酒に執着がない人から見たら月に2回の飲酒は決して"あり得ないほど厳しい基準"ではない。この辺りからだんだん月に2回以上のみたい、もっと欲しいと脳が求め始めている。

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嘉殿エリサ
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