見出し画像

ワインを飲み始めたもうひとつの理由

2014/05/02

単館上映の映画館でスペイン映画を観た。ひとりで。腰が痛くて座っていられない。

相変わらずひどい疲労感がとれず、上映開始後しばらくして眠ってしまいあまり内容を覚えていない。

しかし、映画の中でスペイン人労働者がまだ陽も明るいうちに、バルのテラス席で談笑しながらワインを飲むシーンがあって、そのシーンを見てわたしは居てもたってもいられない、たまらなく切ない気持ちになったことは覚えている。

映画の中でバールのテラス席でまだ陽も明るいうちにワインをのみながら食事をしていたのは、確か中年以上のあまり豊かそうではない労働者の男たちだった(と思う)。
そしてセリフも「昔、茶褐色の肌の女を買った」といった下世話のものだった。

どう見ても素敵でもおしゃれでもないこのシーンに目が釘付けになった。彼らが死ぬほど死ぬほど羨ましかったのだ。

どんな状況でも疲れていても、家族や友達と夕食にお酒を飲む。そんな幸せ幸せなこと他にある?

前にも書いたがワインを飲み始めたのはその味が好きだったからだ。しかし、もうひとつ理由がある。

ワインのある食事のおしゃれな雰囲気も好きだったのだ。そしてワインのおつまみも。

若いときに憧れだったおしゃれなヨーロッパ人女性たち。

仕事のあとに家族や仲間や恋人と軽い食事とワインを楽しむ。

安くても美味しいワインとパンとチーズ、そしてワインにちょっとした野菜。彼女たちは食事や服装が質素でも、仕事のあとに1日の疲れを癒す、そんな大人の時間があれば毎日が幸せ!に見えた。

シンプルでもそんな生活を夫とするのが夢だった。

実際に毎晩そんな食生活をすれば体には良くない。そして子供が生まれればますますバランスよく食事を作らなければならない。
お金をかけないようにしなくては、野菜は多くしなければと食事作りはがんばった。夫は食事の内容にはとても寛大な人なので、もし夫と二人の生活だとしたら、夕食はワインをメインにそれに合うおしゃれで作りやすいメニューになっていたのだろう。

しかし今は普通の日本人お普通の家庭の食事。

しかも子供が成長し食べる量が増えてからはおしゃれなもの、フレンチビストロやスペインバルのような酒の肴のような食べ物は全く作れなくなった。

別にこどものせいではない。30代前半で過敏性腸症候群になってからはフレンチや揚げ物など、脂・油分の多いものは私が食べられなくなったのだ。

おしゃれな、理想の食生活にあこがれていた自分

最後の砦のワインだけは絶対離したくない。離さない。ワインが飲めればもうあとは我慢する。

大げさに書くとこんな感じだろうが、そんな風にワインを飲み続けた気がする。

なんとなくそんな気がしてきた。

よろしければサポートお願い申し上げます。いただいた費用は今後の活動に大切に使わせていただきます。