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【方程式】 〈5〉 直線の方程式

 数学では、2次方程式、円の方程式、ベクトル方程式など、様々な「方程式」が登場しますよね。どう違うのでしょうか? 同じなのでしょうか? 実は、意味合いの違う3種類が混在しているのです!
 前半は、初歩とも言える「1⃣ 解く方程式」について解説しました。中盤は、高校数学でも難解な、でも、よく出題される「2⃣ 図形を表す方程式」の分野について、きちんと整理・解説していきますので、「そうだったのか!」「Methodを理解!」という領域まで到達していきましょう。


「方程式」は3種類

高校数学で学習する方程式は、大きく分けて次の3種類です。
 1⃣ 未知数を求める=解く(2次方程式、3次方程式など)
 2⃣ 図形を表す(直線の方程式、円の方程式、ベクトル方程式など)
 3⃣ 関数を求める(積分を含んだ式、微分方程式など)「直線」は3種類


[Method] 基本型と一般型

 (ⅰ) 中学校:y=ax+b(x軸に平行な直線:y=bを含む)
   基本型:y-y1=m(xーx1)
   y軸に平行な直線:x=p
 xy平面上に直線を描くことは、小学校の頃から扱ってきましたよね。はじめは、 y=ax+b (a,bを用いて学習)を中心に学習します。aが傾き、bがy切片を表すので、イメージしやすく、汎用性も高いです。ただ、解法の途中で連立方程式が出てきたり、場合分けが必要になったりと解法のスピード感が足りません。さらに、最大の問題点ですが、x=p で表されるy軸に平行な直線は含まれていません。ですから、数学の得意な「一般化」には、そぐわない表現です。
 しかしながら、基本型は、2点を結ぶ直線、平行・垂直な直線、接線など、たいへん応用範囲が広く、高等学校で最も多用する公式であると確信しています!(x=p が含まれないことは解消されていませんが、、、)

[Method]  高等学校で最も多用する公式=「最頻出公式」

直線の方程式:基本型

 (ⅱ) 一般型:ax+by=c
 xy平面上のすべての直線を表す一般化された万能な方程式です!しかし、傾きもy切片も見えにくいし、第一、直線の方程式に見えない!
たいへん評判の悪い式ですが、この一般型をマスターすれば、解法への近道になります。詳細は以下で解説しましょう。
 場合分けを回避でき、計算間違いの減少にも繋がるので。

[Method] 方程式の表す図をイメージ

 解法のポイントは、図をイメージして解くこと! 「図形と方程式」なのに図形を考えずに、代数的に(数字だけで)解こうとする解答がよく見られます。例えマーク式試験であっても、出題者は、図形的な意味を踏まえて作問しているので、図があれば思いつき易い、さらには、図がないと思いつかないような問題を作ることでしょう。
 それは、代数的意味と幾何的意味が1対1に対応するという数学の美しさを、出題者は意識しているからに他なりません。また、マーク式試験では、グラフや図形を図示させることができないので、グラフや図形を描かないと解けないように作問し、解答者の力量を計るのです。


 例題1は、典型的な導入問題です。ぜひ、直線を描いてみてください。

〈例題1〉「傾き」「垂直」「平行」から図形をイメージ

斜め、横、縦

〈例題解答例1〉


 例題2(ア)(エ)では、2点を通る直線の公式などもありますが、傾きを準備してから解いています。この手順を踏めば、覚える公式が一つ減りますね。
  傾き m=(yの増加量)/(xの増加量)
(エ)の中盤で両辺を15倍して分母を払えば、一般型での解答になり解答の速度が上がります。一般型で解答を終えるのは違和感があり、y=……にしたいかもしれませんが、そこで計算違いが起こる可能性もあるので、慣れていきましょう。

〈例題2〉

〈例題解答例2〉


 例題3でも、同様に、傾きmを準備するように習慣づけていきましょう。一般型における平行、垂直の公式もありますが、mを求める解法で速度的にも十分でしょう。

〈例題3〉

平行、垂直

〈例題解答例3〉


最後は、接線を求める問題です。
これも同様に、傾きmを準備して、「最頻出公式」を利用します。この場合、傾きmは、接点のx座標における微分係数になりますね。

〈例題4〉

〈例題解答例4〉


〈練習5〉

〈練習解答例5〉

〈練習6〉

〈練習解答例6〉

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