【ベクトル】 〈4〉 内分点の定石問題
ベクトルは、小学校からずっと習ってきた「数」とは、ちょっと異なる量です。方向が加わっているのが理由ですが、そのおかげで「図形」にも応用しやすく大変便利な道具です。
「数」+「図形」、つまり、長さや成分のような数量=代数的な意味合いと、方向を持った矢印=幾何的な意味合いが含まれているのがベクトルです。「方程式」の解説でも述べましたが、数学の面白さ、美しさを味わうことのできる分野ですので、順に、整理していきましょう。
〈例題1〉
この形は、内分点に式に持っていく定石を用いた問題です。
「漸化式」のように、問題に対して解き方が決まっていて、実は答えも係数から推察できます。
[Method] 解答手順
① 基本となるベクトルを決める。 (AB→、AC→)
② 求めるベクトルをAP→と決める。
③ 減法等を利用して、すべて点AからAB→、AC→、AP→のみで表す。
④ 内分点の公式にあてはまるように調整・変形する。
⑤ 面積比は、大きい三角形から比率を考える。
⑤ 面積比は、小さい三角形から比率を考える。
⑤ 面積比は、与式から割り出す。
〈例題解答例1〉
①②は、解説済みですね。
③は、AB→、AC→、AP→のみというのが肝で、それ以外のベクトルは、減法用いて変形します。
④は、AP→= としたところで、
とはならないので、
を利用して、以下のように調整します。
分子の係数が、5と3なので、分母が8であれば内分点となります。そこで、12が分母なので、一旦、8/12 をかけることによって、分母を無理やり8にする変形を行います。この変形が肝です!
この変形によって、Dが線分ABの内分点、PがADの内分点であることが、一度に分かります。さらに、図のような比率も導くことができます。
〈解法2〉
次に面積比ですが、解答例以外にも、小さい方から攻めていく解法もあります。最小の三角形、△BPD=3sとおきます。
△BPD:△CDP=3s:5s
△BPD:△ABP=1:2=3s:6s
△CDP:△ACP=1:2=5s:10s
これより
△PAB:△PBC:△PCA=6s:(3s+5s):10s=6:8:10
となります。
〈解法3〉
実は、解答だけは、与式から求まるのです。
PA→の係数4は、AのPに関して反対側の△PBCに対応し、
PB→の係数5は、BのPに関して反対側の△PCAに対応し、
PC→の係数3は、CのPに関して反対側の△PABに対応します。
つまり、
△PAB:△PBC:△PCA=3:4:5
となります。
ベクトルが向かい合う三角形と吊り合っていくので、このような比率のなるのです。
〈問題2〉
〈問題3〉
〈問題4〉
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