バッハアレンジ①Jacob
今回は、初めてのバッハアレンジ曲、Jacob(CNo9)を紹介します。前半はバッハとの出会いからこの曲の紹介まで、後半はタイトルJacobの由来について説明します。
バッハとの出会い
私は幼稚園児の頃からバッハが好きでした。
昔、ソノシートという極薄ペラペラのレコードが雑誌の付録になっていました。たぶんレコードの宣伝のため曲の一部が入っていたんだと思いますが、それを聴き、バッハっていう人の曲が大好き!と親に言いました。
ソノシートが見つからなかったので、親がクラシック曲集の中から探してくれました。バッハといえばこれじゃないの、と言ってブランデンブルク協奏曲とかマタイ受難曲とかいろいろ聴かせてくれたのですが、どれも違います。
結局、私がこれこれ!と言ったのは、オルガン曲のトッカータとフーガ二短調(BWV 565)でした。
おそらく最も有名なバッハのオルガン曲です。幼稚園児ながら、ものすごい衝撃を覚えたのを今も覚えています。宇宙を感じるというか、果てしない広がりを感じるのです。
どの曲をアレンジするか
そんなわけで、作曲を始めたらいつかバッハ曲をアレンジしたい、と思っていました。現時点で最も好きなオルガン曲といえばパッサカリアとフーガハ短調(BWV 582)ですが、一番好きなものは後にとっておいて、他の気になる曲をアレンジすることにしました。
ピアノを習う人なら知っているであろう,平均律クラヴィーア曲集がありますね.このうち 第1巻第2番,プレリュードとフーガハ短調(BWV847)がとても好きなので、これをアレンジしてみようと考えました。
この曲のアレンジは既にいくつかありますが、私は独自のリズムに乗せてみようと考えました。2015年1月23日生まれ(アレンジ発想が生まれた日)の曲Jacobは、私のはじめてのバッハアレンジ曲となりました。
ちなみにもとの曲はこんな感じです。
当たり前ですが、何度聴いても原曲は素晴らしいですね。ピアニストによって印象が異なりますが、私はマウリツィオ・ポリーニの弾き方が好きです。
タイトルJacobについて
8-9割できたところで、この曲をCJDと呼びたい衝動に駆られました。
私の頭に浮かんだCJDという言葉は、Creutzfeldt-Jakob Disease(クロイツフェルト・ヤコブ病)の略で、病気の名前です。 異常なプリオン蛋白が脳に蓄積して急激に変性していくという恐ろしい病気なのですが、作りかけの曲を聴いていて、ふとこの言葉が浮かんだのです。
病気が数か月の間に進行してくると,無動性無言という状態になって,ほとんど動かなくなるしコミュニケーションができなくなります.ただ,本人の意志とは関係なく,ピクッピクッというミオクローヌスと呼ばれる不随意運動だけが出る状態になります.
この頃に脳波をとると,脳の各所の電気活動が同期して出てくるようになり,周期性同期性放電という現象が記録されます.健常の人では脳波がそんなに同期することはないので,とても異様な印象を受ける脳波になります.
この曲も,曲が進行して最後に近づくと様々な楽器が同期して,音の脱落を挟んでどんどん同期していくさまが,CJDの脳波を思わせたわけです.
図に,この曲のソングエディタ(singer song writerで作りましたが,同系列のAbilityで開いたもの)画面を示します.異なる色は異なる楽器を示し,横方向は曲の進行を示します.音が出ている間が色帯で示されます.
でも,さすがに病名をタイトルにするのは憚られたため,その一部であるJakobを,さらにJacobとつづりを変えてタイトルにしたわけです.
これ以外にもバッハアレンジをしていますが,バッハ曲ではなく「バッハっぽい曲」というのはけっこう多く作っていますので,徐々に紹介していきたいと思います.