暖かいその人

祖母は小さな私のために発音しやすいばぁばという呼び方を教えてくれたわたがしのようにふわふわで甘くて優しい触れすぎると溶けてしまう、環境が悪いとしぼんでしまうような人だ。

ばあばは母方の祖母で四国出身のゆっくりな話し方が特徴で、暖かいお茶を好む可愛い可愛い私の大事な人。

そんなばあばをこの場で復活させてみせます。
悲惨な出来事が無くなることは無い。それでもこの中だけでは生き返らせる事を許してくださいな。

ばあばは春が好き。私と桜を見に行こうとお散歩をしてくれる。私より背の小さなばあばは歩幅が小さいから一緒に小さく歩く。
花粉症なのに花が好き。花の名前をよく教えてくれるの。これは百日紅の花、綺麗だね。このお花はポピーだよ。そんな会話が想像できる。

ばあばは鶏肉が苦手。間違えて焼き鳥行こと言うと可愛いお口がむすっとした形に変わる。それすら愛おしい。もう一度見せておくれ。

ばあばは孫と過ごす時間が好き。その為にお仕事を2つ掛け持ちしてるの。もうすぐ80歳なのにすごいねばあば。朝起きるのが苦手な私にメールでモーニングを誘ってくる。家から歩いて1分もしない所に喫茶店がある。そこのモーニングを一緒に食べると嬉しそうに表情が柔らかくなり口の中のものが出てしまうのではないかと思うほど穏やかに笑うの。その笑顔が好きだった。もう一度もう一度見たいなあ。

ばあばは私が好き。写真の嫌いなばあばと成人式の前撮りで一緒に写真を撮った。嬉しいと照れが混じったお顔で私と写真の中にいる。その時桜が舞っていてばあばの卒業式のような光景だった。
ばあばの親戚に頂いたオレンジ色の着物を召した私にばあばは嬉しそうな幸せそうな顔を向ける。私もこの着物を着れて幸せだよ。

私はばあばが好き。あなたがどんな姿になりどんな言葉で話しかけてくれてどんな表情でこちらを見ているか見るのが好きだ。どんな離れていても変わらないよ。
私はばあばが大好き。孫のために長生きして一緒に歩んでくれるために足腰を衰えさせないような生活をしていたのを知ってます。私は初孫では無いが私はばあばが初めての大好きな祖母だよ。

この中で生き返ったのならまた魚料理の匂いが染み付いた袋と野菜を口下手に渡してね。
野菜だいぶ食べれるようになったよ。
ばあばのおかげで魚も綺麗に食べれるようになったんだ。成長したよ。
もう小さくないけどずっとばあばって呼ばせてね。
もう小さくないからばあば孝行させてね。一緒に小さな歩幅で歩いてこれから咲く桜を見に行こう。

ずっとずっと桜の下で暮らせたら。

おわり。

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