憎らしいほどスベスベしてる
ここ最近、肌が絶好調である。
しばらく前までは肌荒れがひどく、通っている皮膚科の先生に相談して漢方薬を服用したり、日々のスキンケアを変えてみたりと試行錯誤していた。
結果的に、化粧水と乳液を保湿力の高いものに変えたのが功を奏したようで、だんだんと落ち着いてきた。今は肌荒れの痕が残りそうな箇所をどうケアしようかと考えているところだ。
ボディケアもうまくいっていて、毎年この時期になると粉をふいて痒みが出ていた脛までもがしっとりしている。
ボディミルクをこれに変えたからかもしれない。
無香料で使いやすく、ベタつかないのに翌朝まで肌の潤いを保ってくれる(あくまでもわたしの使用感です)。
ただ、今までは保湿力のあるボディケア用品を使っても肌の乾燥を防ぎきれなかった。一日に二回、体を洗っていたうえに、ケアもじゅうぶんではなかったからだ。
夕食後に双子の娘たちといっしょに一回、夜、彼女たちが寝たあとに一人でゆっくりもう一回。わたしは一日に二度、お風呂に入らざるを得なかった。
幼い娘たちの髪や体を洗ってあげる、または彼女たちが洗うのを見守らなければならない。わたし自身がパックをしたり、髪を丁寧に乾かしたりもしたいから、一人でのお風呂タイムも確保したい。
娘たちと入るときはあわただしくて、自分のケアなどあとまわし。ボディミルクを塗る余裕はない。一人になれるときまでお預けになってしまう。
おかげで毎冬、わたしの脛はガッサガサだった。掻いて血がにじむこともあった。
しかし、秋が終わった頃、娘たちが二人きりでお風呂に入るようになった。彼女たちの希望でそうしたのだけれど、二人とも全身を上手に洗えているし、浴室内もきれいに片づけてから出てくる。
「あれ、7歳ってこんなにしっかりしてるのね」
落胆と驚きの入り混じった、ぬるい寂しさに襲われた。
娘たちといっしょにお風呂に入るのは、わたしの役目だと思っていた。「ママがついていないと、ちゃんと洗えないでしょ」と思い込んでいた。
だから、家を建てるときは、絶対に浴室は1.5坪(3畳)でないと嫌だと言い張った。三人で入るんだもの、1.5坪ないとダメなんだから。
それがどうだろう。三人まとめて入らないなら、そんな広さは必要ない。浴室はコンパクトなほうが掃除も楽だ。
一日二度のお風呂をやめてから、わたしの脛はみるみる潤いを取り戻した。なにせ、体を洗ったらすぐにボディミルクを塗り込めるのだ。お風呂上がりのボディケアはスピーディーさが命らしい。
こうやって、育児する人は「わたしでなくちゃ」と思い込んでいたあれこれを手放していくのだろう。この先も、わたしには健全な別離がきっとたくさん待ち受けている。
「最近、体が痒くならなくなったわ。乾燥がマシになった」
先日、夫にそう話したら喜んでくれた。「よかったやん! 毎年、脛が荒れて、掻いちゃったりしてたもんな。よかったよ」
わたしは「そうやね」と返し、ルームウェアからのぞく自分の脛を見下ろした。ああ、憎らしいほど、スベスベしてる。