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仕事がデキる男とは

デキる男は見極めが早い。

私がデザイン関係のお仕事をしていたとき
めちゃめちゃにデキる男がいた話です。

そのデキる男はSさん。営業職です。
中途採用で入ってきたかと思えば
あれよあれよと営業部長に駆け上がった男。
もちろん実力です。
営業成績がダントツだからです。

さてさて、デザイン関係のお仕事における
営業というのは、ただ仕事を取ってくれば
いいというものじゃありません。

営業が取ってきた仕事は「これ作ってね」と
デザイン班に回すわけなんですけど
この回すところが難しい。

デザイン班は“営業から指示されたもの”を
その通りに作るのが仕事。
で、出来上がったものを見た
クライアント(お客さん)が

「いいね!これこれ!」となれば仕事終わり。
「うーん、ちがうなあ」となれば作り直し。
もちろん、一発OKが出れば最高なわけです。

おわかりでしょうか。

デザイン班は“営業から指示されたもの”しか
作れないわけです。

つまり、営業個人の「聞く力」「伝える力」が
ダイレクトに仕事全体に影響するんです。

もし、営業からの指示がこんなものだったら…

「なんかよく分かんない客なんだ。まぁ作ってよ」
「たぶん、この写真をドーンと乗せればいいはず」
「あー、色はね、なんかいい感じにしてほしいの」

一発OKなんて夢のまた夢。
何度も何度も作り直しをすることになって
それにかかる人件費はハネ上がるし
(もっと的確に指示してよ・・・)と
営業とデザイン班との間に溝が出来てしまう。
本当に、営業の能力というのは仕事全体を
大きく変える重要な役割を担っていました。

デキる男Sさんは何がすごいのかというと
作り直し率が明らかに少ないんです。
つまりそれだけ、クライアントの要望を
デザイン班に伝える力に長けている。

そんなSさんの説明はどんなものだったか?
私に対してはこんな感じでした。

「以前お前に作ってもらった〇〇あるだろ?
あれを手直すだけでいいから」
「お前の得意なやり方でさ、この写真を
バーンとでっかく配置すればいいやつ」
「悪いんだけどまず3パターン作ってくれ。
ちょっと難しい客なんだよな」

口調はぶっきらぼうだし威圧的な人でした。
でもその言葉は成功のビジョンを含んでいて
(なるほど、こう作ればいいのか)と
モチベーションが上がる言葉でもありました。

おそらくSさんは・・・
私のレベルを見極めていました。

私が理解できる言葉で話すし
私が理解できるイメージを持たせるのが
抜群に上手かったんです。
だから短い説明であっても
(なるほど)と心に入ってきたんです。

Sさんは雑談好きでした。
営業内部の人たちやデザイン班はもとより
会社全体のあらゆる人たちと
暇さえあれば雑談をしていました。

あの当時の私は(コミュ力たけーなぁ)
としか思っていませんでしたけど
Sさんは雑談を通じて、個人個人の
雑談のレベルの見極めをしていたのかなと
思います。いやきっとそう。

デキる男は見極めが早い。
あれを意識的にやっていたのか
それとも無意識で身に着けたものなのか
そこのところを聞いてみたかったなぁ。

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