静かに自信を失っていくメンバーを見て、女性向けChatGPTイベントをやってみた話
みなさん、こんにちは。みんなのコード杉之原です。みんなのコードでは、業務執行責任を担っています。私は、これまでITベンチャー企業で組織の成長フェーズを経験してきました。
先日、女性対象オンラインイベント「生成AIの話題にイマイチついていけない人のためのChatGPT体験講座」を開催しました!ゲスト講師には、サイバーエージェント ソフトウェアエンジニア兼Tech DE&Iリードの神谷さんをお招きしました。
なぜ女性を対象にイベントを開催したか、当日の様子などを書きたいと思います!
女性を対象に開催した理由
みんなのコードは、さまざまな格差を埋める取り組みを行っていますが、特にテクノロジー分野においては大きなジェンダーギャップが認められるため、重点的な取り組み事項としています。
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「テクノロジー分野におけるジェンダーギャップの解消に関する取り組みについて」
社内Slackで、たびたびこんな会話がありました。
CTOの安藤は、Facebook (現 Meta) でアジアとヨーロッパ、9カ国からなるエンジニアチームを統括していた中でDEI等の活動に携わった経験を持っているため、ChatGPT関連の発信者が男性ばかりであることに危機感を持っていたようです。
テクノロジー分野におけるジェンダーギャップは、私にとっても大きなテーマです。しかし、「生成AIの文脈の専門家ではない私に出来ることはあるのだろうか・・・」と何もアクションできずにいました。
静かに自信を失っていくメンバー
学校教育における生成AIの議論を進めるため、みんなのコードでは、4月末から「GPT-4全員やってみよう月間」が開催されていました。
生成AIやChatGPTという単語が毎日飛び交う中、女性メンバーからこんな声がちらほら届くようになります。
社内を見渡すと、男性メンバーが会話の多くを占める形でChatGPTの話題がなされていました。みんなのコードで働いているにも関わらず、会話についていけない。社内の会話を見たり聞いたりしているうちに、女性メンバーが静かに自信を失っていたのです。
女性メンバー全員がそうだとは言いません。きっと同じ気持ちの男性メンバーもいるでしょう。
女性話者による女性のためのイベントをやろう
この現象を目の当たりにし、ようやく、私が何かしなければいけないと思いました。「性別関係なく、ChatGPTに関連するオンラインイベントをやってみたい」とCTOの安藤に相談しました。
当然、AIに関する話題は安藤に話してもらおうと思っていました。しかし、安藤からは「思いきって女性に絞ろうよ」「話者が女性であることに意味があるのではないか」と背中を押してもらいました。ゲスト講師の神谷さんも、安藤がつないでくれました。
こんな流れから、登壇者も参加者も全員女性でやってみる、というチャレンジにたどりつきました。安藤のエンパワーメントに感謝しています。
神谷さんにもお付き合いいただき、こんな会話を重ねながら、イベントの内容を作っていきました。
イベント中のリアクション199件!いつもは遠慮していることが言える雰囲気をつくりたい
イベントには60名を超える皆さまにご参加いただきました。ご参加の皆さんからもチャットで「”イマイチついていけていない”にまつわるエピソード」をいただきながらイベントを開始。
「やってみようコーナー」では、実際にChatGPTを触りながらわいがや。ChatGPTを身近に感じていただくことをゴールに、あえて仕事から離れたテーマを設定しました。
そしてこのイベントは、「いつもは遠慮していることも言える雰囲気をつくりたい」と考えていました。
イベント中は、なんと、チャットでコメントやリアクションを199件もいただいたおかげで、オンラインかつ一方向であったにも関わらず、あたたかい雰囲気で進行することができました。
実際に、参加された方からはこんな声をいただきました。
今回、ゲスト講師として登壇いただいた神谷さんには、企画段階からお付き合いいただきました。「最新技術の使い手・作り手に偏りがあると、偏ったアウトプットが生まれてしまう。幅広い人たちに、臆せず積極的に使ってほしい」というメッセージに背中を押していただき、イベントは閉会となりました。
やってみて
心理的安全性を担保した最新技術イベントの意義
かねてより最新技術領域におけるジェンダーギャップへの課題感を感じていたこともあり、本イベントには二つ返事で参加しました。まずは応募開始早々に満席となったことや、事前のSNSでの様子を見て「女性×ChatGPT」というかけあわせに対する関心の高さが伺えました。イベント当日も、他のイベントでは類を見ないほど、Zoomのチャットが盛り上がる様子を見て、心理的安全性を担保した最新技術イベントの意義深さを感じました。今後も生活を豊かにする生成AI技術を使いこなす女性が増えていくことを楽しみにしています。(神谷優)
小さくてもアクションしてみよう
女性対象にイベントをやってみて、改めて、同質性が高いからこその安心感を感じました。同時に、日常の仕事ではなかなか「イマイチついていけていないこと自体を言っても良いのだ」という空気感がないことに気がつきます。
また、私たち自身、「エンジニアではないから分からない」「どうせこの分野はついていけない」と自ら一歩引いてしまっていましたが、小さくてもアクションしてみることで、手触り感と大きな自信につながったように思います。(杉之原明子)
イベント運営を通じて心が軽くなった
リハーサル時、明子さんとChatGPTを触りながら進め方を相談している時に、「こう質問してみたらどうかな?」「何この返答!そのまま『本当ですか?』 って聞いてみようよ」とわいがやしながら進めていったことで、自分なりのChatGPTの使い方が見えて、心が軽くなりました。私には、最初から完璧なプロンプトを書くのではなく、対話を繰り返すやり方が合っていることに気づけました。
「人間2人+ChatGPTの組み合わせで、議論を深める」という使い方、かなりおすすめです。プログラミングの授業にイマイチついていけていない高校生に出会ったら、こういったやり方を提案していきたいです。下がっていた自己肯定感は、このイベント運営を通して回復しました。(洞まなみ)
テクノロジーを試行錯誤できる場が必要
生成AIなど最新の技術トピックに関するコミュニティは女性比率が低くなりがちという課題感はあったのですが、今回、杉之原がリーダーシップを発揮してすばらしいイベントに繋がりました。生成AIなど多くのテクノロジーは、実際に試行錯誤することで理解が深まります。そのためには、今回のイベントやその準備期間のように、よりインクルーシブで心理的安全性を高める場作りが必要になってくるでしょう。(安藤祐介)
わかりたいからこそ、「よくわからない」と気軽に口にできる、学びあえる場を
リアルタイムでイベントには参加しませんでしたが、社内記録用の動画を見ました。
身近なテーマでありつつChatGPTを使う上でのコツやヒントがちりばめられていて、「イマイチよくわからない」状態から「なんとなくわかった」と自然に感じられる内容でした。いわゆる「上から目線」ではない、とても良い雰囲気のイベントでした。
私はもともと高校「情報」の教員でしたが、「わからない」と質問に来る生徒たちが大好きでした。「わからない」と言える人は「わかりたい」人であるからです。
わかりたいからこそ、「よくわからない」と気軽に口にできる、学びあえる場作りが大切なのだと改めて感じました。(永野直)
ご参加いただいた皆さま、このようなチャレンジをさせていただきありがとうございました!
ここまでお読みくださりありがとうございます。
みんなのコードは、「誰もがテクノロジーを創造的に楽しむ国にする」をビジョンに掲げ、2015年の団体設立以来、小中高でのプログラミング教育等を中心に、情報教育の発展に向け活動し、多くの方からのご支援をいただきながら取り組んでまいりました。
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引き続き、21世紀の価値創造の源泉である「情報技術」に関する教育を充実に向けて、これからも取り組んでいきます。
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