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短歌 代用品

初期化 む 愛の欠乏 人間の代用品になる可能性 

目を閉じて嵐が過ぎるのを待って唾を飲んでも月曜だった 

許されていたと気づいてあの頃の自分にかける「大丈夫だよ」


すっかり投稿をさぼっていた「文芸選評」の締切が今日だったと通院のバスの中で気づいて、慌てて投稿しました。テーマは「時計」。短歌自体は少し前に作っていて推敲のために寝かせていたのですが、寝かせていたこと自体を忘れていたのでした。

病院では、前回の検査結果の数値があんまり芳しくないこと、でもそんなに悲観的になりすぎないでほしいということなどを、率直に伝えてもらいました。

何回か待合ロビーで待つタイミングがあり、持ってきた本も読み終えてしまったので、待合空間の隅に置かれている水槽をぼーっと眺めていました。

皆さんは、「魚の絵を描いてください」と言われたら、どのようなアングルで描くでしょうか。統計を取ったわけではありませんが、おそらく9割超の人が「横から見た姿」を描くと思います。私もそうです。

なので、水槽の中を泳ぐ熱帯魚たちも、当然のように「横から見た姿」を想定していました。

熱帯魚のイラスト
人から期待されるであろう熱帯魚のイメージ(イラストACより)

ですが、ソファに座った私を、一匹の熱帯魚(たぶんグッピー)が、真正面から凝視しているのです。

魚って、真正面から見てもそこそこかわいいんですね。うん、かわいいよ。目が合っているのかいないのかわからないあたりもキュート。どんなに見つめあったところで分かり合える気が全くしないところだって素敵。

怖い!!

熱帯魚を真正面からちゃんと観察することのない人生は、今日まで。今日からは、できればグッピーと目が合わないように気をつけて生活します。

帰宅したら、夫が夕飯を作って待っていてくれました。メニューが鮭のホイル焼きだったので、

「これも魚なんだな……」

と思わずつぶやいたら、

「魚だと思えば魚だし、そうじゃないと思えばそうじゃない。僕はそう考えます」

と返されてしまったので、特にそれ以上深追いせずにホイル焼きをおいしくいただきました。食欲は何より正確な私の体調のバロメーターなので、全然元気なんだけどなあ、と思いつつ、今日の検査結果を夫に伝えるかどうか迷っています。

それは、明日にしようかな。その「明日」がずるずる更新されていって、別に数値なんて気にしなくて大丈夫な体調になったらいいのになー。

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笹塚 心琴
よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。

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