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なんにもないところに



心がなんにも持っていないとき

しあわせと安らぎを感じる。


特別なことはない。

嫌なこともない。


ただなめらかな風が吹いていて

肌を優しく撫でてくれる。


川が流れていて

ちゃぷちゃぷと水の音が聞こえてくる。


見上げれば

カタチを変えながら雲は流され

空は橙色に染まってゆく。


そんな瞬間が

いつもわたしの心を

透明にしてくれる。



しあわせって

心のフィルターがクリアで

目の前の風景を

ありのままに映してくれることだと思う。


ポジティブでもネガティブでもなくて

あるがまま。


良くも悪くもなくて

ふつう。ありきたり。


わたしがいてもあなたがいなくても

変わらずにまわりつづける世界。


なんにもないところに見出せるもの

それがしあわせの源泉。


失うことや手に入れること

その悲しみやよろこびは

いつかは消えてしまう。


かたちあるものは

いつかはなくなってしまう。


なんにもないところに

しあわせを感じたとき

いろんなものが

ありすぎたことに気がつく。


空や 雲や 光や 水

風や 雨や 雪や 虹


その圧倒的な普遍性は

どんなものより

わたしの心を満たしてくれる。


真の安らぎは 

そこにある。


そのことを思い出すために

わたしは言葉を紡ぎ

シャッターを押しつづけている。


ひとときも目を離せない

移ろいつづける自然の表情に

昨日も今日も明日も

生命の輝きを魅せられる。


心の水面に

あらゆるものを映し出して

波紋を楽しむ。



ゆれて ゆられて

あれて みだれて。



いつか

無に還るときまで。















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