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赤と青のらせん
救われる人が居る
悲しみに呑まれてしまわぬ様に
幻想を描き綴っておこう
それを灯りと呼ぼう
これはわたしの大好きな歌の歌詞の一節です。
この楽曲を初めて聴いた時、身体が水の流れになってしまったみたいに涙が止まりませんでした。
描く、書く、ということ、目に見えない何かをカタチにするということ、生きるということを、愛を、美を、こんな風に表現する彼の世界観は、わたしの描く世界観にも通じるものがあり、とてもとても惹かれます。
かれこれ2年以上前、2022年5月末に描き始めて、途中で筆が止まり、しばらく放置されたままの絵がありました。
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その8ヶ月後、2023年1月末、Siipというアーティストの音楽と出逢い、その時にふとこの描きかけの絵が浮かんできました。そして、冒頭でもあげたPanspermiaという楽曲をエンドレスリピートで流しながら、5〜6時間ぶっ通しで、ずっと泣きながら、一気に描き上げました。
わたしにとってあまりに大切で、出来るだけ誰にも見せたくなくて、なかなかアップ出来なかった絵。
描いた絵を誰かに見てもらいたいと言う思いがある反面、誰にも見せたくない、自分だけの秘密の聖域として取っておきたい、という気持ちがせめぎ合い、なかなか表に出せないままの絵が、この絵以外にもまだたくさんあります。
その中でもこの『赤と青のらせん』は特別な一枚で、でも、今このタイミングで、またこの曲に還ってくるという流れがやってきたのもあって、こうして今noteを綴っています。
言葉ではなく言葉の奥にあるエネルギーを感じる。
それはわたしにとってごく自然な在り方で、言葉はカタチはやっぱりただの記号であり、それを承知した上でのエネルギー交流というものを大切にしたいと思っています。
彼の紡ぐ歌詞は、そのことを見事に表現しているようで、理想や綺麗事に偏らず、かと言って絶望がすぎることもなく、言葉にならない揺らぎをメロディーに乗せて、素直に伝えてくれる。
知らず知らずのうちにピンと張っていた糸が緩むとき、ここへ還ってくる。今のわたしにとって彼の音楽は、心解き放てる居場所なのです。
赤と青のらせん
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2023.1.26完成作品
この絵に取りかかる前、ふと浮かんできたのが“あの世から見た宇宙”そんなイメージでした。
そこからは、心地よさを頼りに筆を動かします。
とは言え、見る人や状況によっても心地よさはさまざま。
この絵を描いているときに感じた心地よさは、滞りを押し流す涼やかで清らかな銀河のきらめきのようでした。
縮こまっていたエネルギーが解き放たれた、そんな瞬間だったのかもしれません。
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生きゆく無常をただ知る度に
「美しさ」と呼ばずには居られない
2024年10月某日、フランス・パリのマドレーヌ寺院で開催される展覧会にて、絵を飾って頂けることになりました。
寝たきりの大浄化から起き上がるタイミングだった5月末日、InstagramのDMにて声をかけて頂きました。
展示されるのは、寺院の中にあるサル・ロワイヤル(Salle Royale=王室の間)と呼ばれる、中世そのままの姿で保存された石造りの壁に囲まれた空間で、一般貸出はされておらず、現在は「イコン展」をはじめとする美術展など、限られたイベントが実施されているそうです。
自分の絵がマドレーヌ寺院のような神聖な場所に飾ってもらえる機会があったらいいな、と10ヶ月前にふと思ったその夢が叶いました。
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展覧会のテーマは『光の瞑想~Méditation Lumière』。
この展覧会は、造形的または詩的な作品を来場者に提示し、思索の瞬間をもたらすことを目的としており、
作品のテーマは、タイトル通り光、瞑想、そして反射、色、美的探求を通じて、訪問者に幸福感を与えることだそうです。
以前お声がけ頂いた3月に予定していたパリ出展は、いろんなことが重なってお断りするに至り、残念無念だったのですが、この度、理想的な条件、念願の場所での展示ということで、ありがたくうれしい限りです。
なのにか、だからか、力が入れられず、全く絵がかけておりません。
今気付きましたが、2年前の5月末に描き始めた絵についての話と、今年の5月末に頂いたパリの展示のお誘い、同じ5月末繋がりなのもきっと偶然ではないのでしょう。
締め切りまで1ヶ月を切ってしまいましたが、なるようになるということで、焦らず機を待ちたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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